
「企業内転勤」ビザは、企業のグローバル展開に伴う人事異動に対応するため、外国にある事業所から日本国内の事業所(本店、支店、営業所など)へ、期間を定めて転勤する外国人社員を受け入れるために設けられた在留資格です。
「企業内転勤」ビザをもって在留する外国人の人数
企業活動のグローバル化を背景に、海外拠点から日本の事業所へ転勤してくる外国人の数は年々増加しています。
| VISA | 2022年12月末 | 2023年12月末 | 2024年12月末 | 2025年12月末 |
|---|---|---|---|---|
| 企業内転勤 | 13,011人 | 16,404人 | 18,375人 | 19,161人 |
「企業内転勤」として認められるのは、同じ企業グループ内での異動に限られます。具体的には以下のようなケースが該当します。
※あくまで「期間を定めて」の転勤を前提としているため、日本に永続的に勤務させる目的ではなく、一定期間の赴任であることがポイントになります。
在留期間について
「企業内転勤」ビザで許可される在留期間は、日本での勤務予定(赴任期間)等に応じて、以下の4つのいずれかになります。

「企業内転勤」ビザを取得するための第一歩は、入管法が定める「在留資格該当性」を満たすことです。これは、「日本で行おうとする活動が、法律上の『企業内転勤』ビザの対象に当てはまっているか」という条件のことです。
入管法では、このビザで認められる活動を次のように規定しています。
本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動
【入管法別表第1の2の表の「企業内転勤」の項の下欄】
行う業務内容(理系・文系の専門知識や外国の文化を活かした業務)自体は「技術・人文知識・国際業務」ビザと同じですが、「企業内転勤」ビザには以下の特徴があります。
現地での採用や転職ではなく、海外の拠点から日本の拠点へ異動してくることが前提となります。
日本での勤務期間があらかじめ一定期間に限定されている必要があります。
転勤先として指定された特定の事業所(日本の本店や支店など)でのみ業務を行うことができます。
「技術・人文知識・国際業務」ビザで求められる学歴(大学卒業など)がなくても、海外の関連拠点で1年以上の勤務実績があれば取得可能です。(※上陸許可基準)
※「技人国」ビザと同様に、工場作業や接客などの単純労働は認められません。
民間企業(株式会社・合同会社など)だけでなく、以下のような様々な組織が含まれます。
※日本側の事業所には、海外企業の日本支社、営業所、駐在員事務所なども含まれます。(ただし、事業所としての施設が確保され、適正に事業活動が行われている必要があります。)
単に同一法人内の異動だけでなく、同一の企業グループ内(親会社・子会社・関連会社)の出向なども「転勤」に含まれます。
雇用契約について
同一法人(会社)内での転勤であれば、日本側で改めて新しい雇用契約を結び直す必要はありません。(海外の雇用契約を維持したまま赴任することが可能です。)
事業の安定性と事業所の実体
転勤先の日本の事業所がしっかりと確保されており、適正かつ安定的に事業が行われていることが求められます。
【要注意】経営・管理業務を行う場合
転勤先で取締役などに就任し、企業の経営や管理業務をメインで行う場合は、「企業内転勤」ではなく「経営・管理」ビザに該当する場合がありますのでご注意ください。

「企業内転勤」ビザを取得するためには、グループ企業内の異動であること(在留資格該当性)に加えて、法律で定められた「上陸許可基準」を満たす必要があります。
審査基準(上陸許可基準適合性)は、入管法の基準省令には以下のように定義されています。
申請人が次のいずれにも該当していること。
(第1号)
申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において法別表第1の2の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる業務に従事している場合で、その期間(企業内転勤の在留資格をもって外国に当該事業所のある公私の機関の本邦にある事業所において業務に従事していた期間がある場合には、当該期間を合算した期間)が継続して1年以上あること。
(第2号)
日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。【上陸基準省令の「企業内転勤」の項の下欄】
具体的には、海外での職歴に関する要件と、日本での報酬に関する要件の2つをすべてクリアしなければなりません。
外国の事業所で採用したスタッフを、すぐに日本へ転勤させることはできません。
日本へ転勤する直前に、海外の本店・支店等のグループ企業で「継続して1年以上」勤務していた実績が求められます。
(※これは、外国企業が日本での単なる労働力確保を目的として、専門業務の経験がない外国人を転勤名目で送り込むことを防ぐための規定です。)
海外の事業所で1年以上従事していた業務は、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザに該当するような専門的な業務(理系・文系の専門業務や国際業務)である必要があります。
ただし、海外で行っていた専門業務と、転勤後に日本で行う専門業務が、完全に同一または関連していることまでは求められません。
原則として直近1年以上の「海外での勤務」が必要ですが、過去に同じ会社の日本の事業所で「企業内転勤」ビザをもって勤務していた期間がある場合は、特例としてその期間を合算して計算することができます。
(※あくまで「企業内転勤」ビザでの在留歴に限られます。過去に留学ビザや他の就労ビザで日本にいた期間は合算できませんのでご注意ください。)
日本で就労するにあたり、「日本人が同じ会社で同じ業務に従事する場合に受け取る報酬(給料)と同等額以上」の給与を受け取ることが必須条件となります。
これは、外国人であることを理由とした低賃金労働を防止するための基準です。社内の同等の日本人社員と比較して報酬が低く設定されていると、不許可の対象となる場合がありますので、給与設計には十分な注意が必要です。

「企業内転勤」ビザと「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザは、日本で行う業務内容(理系・文系の専門業務)が共通しているため混同されがちですが、審査において気を付けるべき明確な違いがあります。実務上、特に注意すべきポイントを解説します。
「企業内転勤」ビザが認められるのは、外国にある事業所から、日本にある同一企業または同一企業グループ(親会社、子会社、孫会社、関連会社など)の事業所へ転勤する場合のみです。
日本赴任後に、当初の予定とは異なる別の企業やグループ外の事業所へ勤務先を変更(更なる転勤や出向)することになった場合は、原則として「企業内転勤」ビザの要件から外れてしまうため注意が必要です。
このビザは、あらかじめ日本での勤務期間(赴任期間)が限定されていることが前提となります。
もし、期間を定めずに日本へ無期限で転勤(片道切符の異動)をする場合は、「企業内転勤」ビザには該当しません。その場合は、一般的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」ビザの取得を検討する必要があります。
日本の事業所で行う活動は、「技術・人文知識・国際業務」ビザに該当するような専門的な業務であることが求められます。工場でのライン作業や接客などの単純労働は一切認められません。
※法律上、「企業内転勤」ビザは「(技人国に該当する)業務」に従事するものと規定されています。「活動」ではなく「業務」とされていることにより、本来「技人国」ビザからは除外されている分野(経営・管理、法律・会計、医療、研究、教育など)の専門業務であっても、企業内の異動という枠組みの中であれば、一部の業務として幅広く含まれ得るという法的な趣旨があります。(※ただし、メインの活動が企業の経営・管理となる場合は「経営・管理」ビザが必要です。)
日本へ転勤する直前に、外国の事業所で「継続して1年以上」勤務している必要があります。採用直後の人材をすぐに日本へ転勤させることはできません。(※過去に日本で企業内転勤ビザで勤務していた期間がある場合は、その期間を合算できます。)
【特例:関連会社での勤務期間の合算】
外国において、同種の業務を行っている子会社や関連会社間で「人事異動が一体的に行われている」と認められるほど密接な関係がある場合は特例が適用されます。現在の転勤元の会社に籍を置いてからの期間が1年未満であっても、そのグループ内の関連会社での勤務実績を合算して「継続して1年以上」となれば、要件を満たすものとして柔軟に扱われる場合があります。
外国人社員の給与(報酬)は、日本人が同じ事業所で同じ業務に従事する場合と同等額以上でなければなりません。物価の違いなどを理由に、外国人社員だけを不当に安い給与で働かせることは固く禁じられています。
「企業内転勤」ビザを申請するために必要な書類は企業内転勤ビザの必要書類に記載しています。
当事務所では、これらの複雑な基準をお客様にわかりやすくご説明し、現在の状況を正確に診断した上で、安心できるビザ申請(在留手続き)をサポートしております。
ご不安な点があれば、ぜひ一度ご相談ください。
営業時間:月〜土 10:00〜19:00(日・祝休み)
当事務所は、あなたのビザ申請を全力でサポートいたします。