
「興行」ビザは、演劇、音楽、スポーツなどの分野で、プロフェッショナルとして日本でショーや試合に出演したり、その他の芸能活動を行ったりする外国人のための就労ビザです。
海外の優れた文化やスポーツに触れる機会を提供し、日本国内の文化交流やエンターテインメント、スポーツの振興に寄与することを目的として設けられています。
「興行」ビザをもって在留する外国人の人数
コンサート、舞台、スポーツイベントなど、海外からのアーティストやアスリートの招へいが活発に行われており、在留人数は年々増加しています。
| VISA | 2022年12月末 | 2023年12月 | 2024年12月末 | 2025年12月末 |
|---|---|---|---|---|
| 興行 | 2,214人 | 2,505人 | 2,635人 | 2,853人 |
「興行」ビザの対象となるのは、主に以下のような職業の方々です。
在留期間について
「興行」ビザで許可される在留期間は、日本での活動スケジュール(公演期間やスポーツのシーズン等)に応じて、以下の5つのいずれかが決定されます。
外国人スポーツ選手を日本へ招へいする際、試合を行う目的や契約の性質によって、「興行」ビザと「特定活動(告示6号)」ビザのどちらに該当するかが明確に分かれます。
【興行】ビザ(プロスポーツ選手)
スポーツの試合を「事業(ショービジネス)」として開催する日本の機関と契約し、プロ選手として報酬を得て試合に出場する場合は「興行」ビザに該当します。
【特定活動】告示6号ビザ(アマチュアスポーツ選手)
興行目的ではなく、自社(所属企業)の宣伝や、純粋に競技技術を競うことを目的として契約を結ぶ場合は、「特定活動(告示6号:アマチュアスポーツ選手)」ビザに該当します。

「興行」ビザを取得するための第一歩は、入管法が定める「在留資格該当性」を満たすことです。これは、「日本で行おうとする活動が、法律上の『興行』ビザの対象に当てはまっているか」という条件のことです。
入管法では、このビザの対象となる活動を次のように規定しています。
演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の経営・管理の項の下欄に掲げる活動を除く。)
【入管法別表第1の2の表の興行の項の下欄】
わかりやすく言うと、「興行」ビザは大きく分けて「興行に係る活動(ショービジネス)」と「その他の芸能活動(メディア出演など)」の2種類に分類されます。
「興行」とは、特定の施設や会場(コンサートホール、劇場、スタジアム、またはバーやクラブなどの飲食店を含む)に不特定多数の観客を集め、見せることを目的とするショービジネスのことです。
この活動には、ステージに立つ出演者だけでなく、興行を裏で支える重要スタッフも含まれます。
出演する活動
演劇、演芸、歌謡、舞踊(ダンス)、演奏、スポーツの試合、サーカスなどに出演する活動。(※プロスポーツ選手として試合に出る場合はここに含まれます)
重要な役割を果たす活動(裏方スタッフ)
自らは出演しなくても、興行を成立させるために独立した役割を持つ活動。(振付師、演出家など)
必要不可欠な補助者としての活動(随行者)
出演者が活動するために欠かせないサポートを行う活動。(マネージャー、舞台の照明・音響スタッフ、スポーツ選手のトレーナーなど)
※なお、プロスポーツ選手の「指導(コーチ等)」をメインで行う場合は「技能」ビザに該当することがあります。また、興行ビジネスの「経営・管理」を行う場合は「経営・管理」ビザに該当するため、個別の判断が必要です。
観客を前にした「興行」の形をとらない、メディアや制作に関する芸能活動を指します。具体的には以下のような活動が該当します。
テレビや映画の制作に係る活動
テレビ番組や映画に出演する俳優・タレント、映画監督、テレビ番組の制作者など。
録音・録画を行う活動
CD(レコード)のレコーディングを行う歌手、録音技師など。
宣伝・撮影に係る活動
CMやポスターに出演するファッションモデル、キャンペーンガール、商業用のプロカメラマンなど。
テレビ番組の制作であっても、ニュースなどの「報道番組」の制作や出演に関わる活動は「芸能活動」とはみなされないため、「興行」ビザではなく「報道」や「技術・人文知識・国際業務」など、他のビザに該当する可能性があります。

「興行」ビザを取得するためには、対象となる芸能・スポーツ活動であること(在留資格該当性)に加えて、入管法で定められた「上陸許可基準」を満たす必要があります。
この基準は、従事する活動の内容(演劇・音楽等のショーか、スポーツか、メディア出演か)によって大きく3つ(第1号〜第3号)に分かれています。最も複雑な「第1号」については、2023年(令和5年)8月の法改正により要件が一部緩和・整理されました。
「興行」ビザの審査基準(上陸許可基準適合性)は、入管法の基準省令に以下のように定義されています。
(第1号)
申請人が演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏(以下「演劇等」という。)の興行に係申請人が演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏(以下「演劇等」という。)の興行に係る活動に従事しようとする場合は、次のいずれかに該当していること。
イ
申請人が次のいずれにも該当する本邦の公私の機関と締結する契約に基づいて、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭23年法律122号。以下「風営法」という。)第2条第1項第1号から第3号までに規定する営業を営む施設以外の施設において行われるものであること。
(1)外国人の興行に係る業務について通算して3年以上の経験を有する経営者又は管理者がいること。
(2)当該機関の経営者又は常勤の職員が次のいずれにも該当しないこと。
- (ⅰ)人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
- (ⅱ)過去5年間に法第24条第3号の4イからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
- (ⅲ)過去5年間に当該機関の事業活動に関し、外国人に不正に法第3章第1節若 しくは第2節の規定による証明害の交付、上陸許可の証印(法第9条第4項の 規定による記録を含む。以下同じ。)若しくは許可、同章第4節の規定による上陸の許可又は法第4章第1節、第2節若しくは法第5章第3節の規定による 許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは 図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者
- (ⅳ)法第74条から第74条の8までの罪又は売春防止法(昭和31年法律第118号)第6条から第13条までの罪により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- (ⅴ)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
(3)過去3年間に締結した契約に基づいて興行の在留資格をもって在留する外国人に対して支払義務を負う報酬の全額を支払っていること。
(4)(1)から(3)までに定めるもののほか、外国人の興行に係る業務を適正に遂行する能力を有するものであること。
ロ
申請人が従事しようとする活動が、次のいずれかに該当していること。
(1)我が国の国若しくは地方公共団体の機関、我が国の法律により直接に設立された法人若しくは我が国の特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人が主催する演劇等の興行又は学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校、専修学校若しくは各種学校において行われるものであること。
(2)我が国と外国との文化交流に資する目的で国、地方公共団体又は独立行政法人の資金援助を受けて設立された本邦の公私の機関が主催するものであること。
(3)外国の情景又は文化を主題として観光客を招致するために外国人による演劇等 の興行を常時行っている敷地面積10万平方メートル以上の施設において行われるものであること。
(4)客席において飲食物を有償で提供せず、かつ、客の接待(風営法第2条第3項に規定する接待をいう。以下同じ。)をしない施設(営利を目的としない本邦の公私の機関が運営するもの又は客席部分の収容人員が100人以上であるものに限る。)において行われるものであること。
(5)当該興行により得られる報酬の額(団体で行う興行の場合にあっては当該団体が受ける総額)が1日につき50万円以上であり、かつ、30日を超えない期間本邦に在留して行われるものであること。
ハ
申請人が従事しようとする活動が、次のいずれにも該当していること。
(1)申請人が従事しようとする活動について次のいずれかに該当していること。ただし、当該興行を行うことにより得られる報酬の額(団体で行う興行の場合にあっては当該団体が受ける総額)が日につき500万円以上である場合は、この限りでない。
- (ⅰ)外国の教育機関において当該活動に係る科目を2年以上の期間専攻したこと。
- (ⅱ)2年以上の外国における経験を有すること。
(2)申請人が次のいずれにも該当する本邦の機関との契約(当該機関が申請人に対して月額20万円以上の報酬を支払う義務を負うことが明示されているものに限る。)以下この号において「興行契約」という。)に基づいて演劇等の興行に係る活動に従事しようとするものであること。ただし、主として外国の民族料理を提供する飲食店(風営法第2条第1項第1号に規定する営業を営む施設を除く。)を運営する機関との契約に基づいて月額20円以上の報酬を受けて当該飲食店において当該外国の民族音楽に関する歌謡、舞踊又は演奏に係る活動に従事しようとするときは、この限りでない。
(ⅰ)外国人の興行に係る業務について通算して3年以上の経験を有する経営者又は管理者がいること。
(ⅱ)5名以上の職員を常勤で雇用していること。
(ⅲ)当該機関の経営者又は常勤の職員が次のいずれにも該当しないこと。
- (a)人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
- (b)過去5年間に法第24条第3号の4イからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
- (c)過去5年間に当該機関の事業活動に関し、外国人に不正に法第3章第1節若しくは第2節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印若しくは許可、同章第4節の規定による上陸の許可又は法第4章第1節、第2節若しくは法 第5章第3節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者
- (d)法第74条から第74条の8までの罪又は売春防止法第6条から第13条までの罪により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- (e)暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
(ⅳ)過去3年間に締結した興行契約に基づいて興行の在留資格をもって在留する外国人に対して支払義務を負う報酬の全額を支払っていること。
(3)申請に係る演劇等が行われる施設が次に掲げるいずれの要件にも適合すること。ただし、興行に係る活動に従事する興行の在留資格をもって在留する者が当該施設において申請人以外にいない場合は、(ⅳ)に適合すること。
(ⅰ)不特定かつ多数の客を対象として外国人の興行を行う施設であること。
(ⅱ)風営法第2条第1項第1号に規定する営業を営む施設である場合は、次に掲げるいずれの要件にも適合していること。
- (a)専ら客の接待に従事する従業員が5名以上いること。
- (b)興行に係る活動に従事する興行の在留資格をもって在留する者が客の接待に従事するおそれがないと認められること。
(ⅲ)13平方メトル以上の舞台があること。
(ⅳ)9平方メートル(出演者が5名を超える場合は、9平方メートルに5名を超える人数の1名につき1,6平方メートルを加えた面積)以上の出演者用の控室があること。
(ⅴ)当該施設の従業員の数が5名以上であること。
(ⅵ)当該施設を運営する機関の経営者又は当該施設に係る業務に従事する常勤の職員が次のいずれにも該当しないこと。
- (a)人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
- (b)過去5年間に法第24条第3号の4イからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
- (c)過去5年間に当該機関の事業活動に関し、外国人に不正に法第3章第1節若しくは第2節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印若しくは許可、同章第4節の規定による上陸の許可又は法第4章第1節、第2節若しくは法第5章第3節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者
- (d)法第74条から第74条の8までの罪又は売春防止法第6条から第13条までの罪により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けるこ とがなくなった日から5年を経過しない者
- (e)暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
【上陸基準省令の「興行」の項の下欄】
コンサートや演劇などのステージに立つ場合、主催者(招へい機関)の信頼性やイベントの規模・会場によって、審査の厳しさが3つのパターン(イ・ロ・ハ)に分かれます。
【対象】 キャバレー等(風営法の接待飲食等営業)以外の施設で興行を行う場合
外国人の興行を適正に行ってきた実績のある機関が受け入れる場合、外国人本人の経歴や会場の広さなどの厳しい要件が免除されます。
招へい機関の主な要件:
【対象】 不法就労などの問題が生じるおそれが少ない、以下のいずれかに該当する興行
一般的なライブハウス、クラブ、パブなどでの興行や、実績のないプロモーターが招へいする場合は、外国人本人・招へい機関・施設すべてに厳しい要件が課されます。
(※ただし、報酬が1日500万円以上の場合は外国人本人の経歴要件は免除されます)
外国人本人の要件
招へい機関(プロモーター等)の要件
施設の要件(※出演者が申請人以外にもいる場合は一部緩和あり)
【特例】外国の民族料理店での演奏等
タイ料理やトルコ料理など、外国の民族料理を提供するレストラン(接待飲食店を除く)で、その国の民族音楽や舞踊を披露する場合、「月額20万円以上」の報酬と、本人の「2年以上の専門教育または経験」があれば、プロモーターや施設の広さに関する厳しい要件は免除されます。
プロスポーツ選手としての試合出場など、演劇や音楽のショー以外の興行活動に従事する場合は、施設等の広さの要件はありませんが、以下の「報酬要件」が厳格に審査されます。
観客を動員する興行ではなく、テレビ番組・映画の制作、CDの録音、CMやポスターの撮影(モデル活動)などの芸能活動に従事する場合も、施設要件はなく「報酬要件」が求められます。
「興行」ビザを申請するために必要な書類は興行ビザの必要書類に記載しています。
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