
「経営・管理」ビザを持った在留する外国人の人数
| 2022年12月末 | 2023年12月末 | 2024年12月末 | |
|---|---|---|---|
| 経営・管理ビザ | 31,808人 | 37,510人 | 41,615人 |
「経営・管理」ビザは、外国人が会社事業の経営や管理業務に従事することができるようにするために設けられた在留資格です。
具体的には、日本において企業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動するための在留資格になります。
今までは「投資・経営」という名称でしたが、平成2 6年の法改正により「経営・管理」という名称に改められました。
「投資・経営」の在留資格は、「経営・管理」の在留資格と異なり、外国人が日本に投資していることを前提とするものでした。
平成2 6年の法改正により外国人または外国法人が現に投資しているだけでなく、日本人若しくは日本法人のみが投資しているものであっても良いようになりました。
「経営・管理」ビザのおおまかなイメージは次の通りです。
具体的には、
などです。
「経営・管理」ビザの在留期間は、5年、3年、1年、6月、4月又は3月のいずれかになります。
本来の目的から外れた不適切なビザの取得を防止するために、令和7年10月16日に「経営・管理」ビザの上陸許可基準が、大幅に改正され厳格化されました。
「経営・管理」の在留資格は、日本において事業の経営・管理を行うために設けられた在留資格ですが
など、「手軽に定住するための抜け穴」として利用されていました。
そこで、資本金の要件を500万円以上から3000万円以上に引き上げられただけでなく、経営者の経歴や学歴要件、日本語要件も新たに設けられました。

「経営・管理」ビザに定められた活動に該当することを「在留資格該当性」といいます。
まず「経営・管理」ビザを取得するためには、「在留資格該当性」を満たさないとなりません。
入管法の別表第1の2の表の「経営・管理」の項の下欄は、本邦において行うことができる活動を以下のとおり規定しています。
本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うごとができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)
【入管法別表第1の2の表の「経営・管理」の項の下欄】
「経営・管理」ビザは、事業の経営又は管理に実質的に従事することが求められます。
経営実態のないペーパーカンパニーなどは不許可になります。
また事業の継続性が求められます。
事業が立ち行かなるようなことが想定される場合はビザが認められません。
外国人の方が経営または管理に従事する事業が安定して行われることが客観的に認められることが求められます。
経営・管理の在留資格に該当する活動とは、外国人が事業をする場合、単に役員に就任しても、実質的に経営または管理に参画する活動をしなければ、「経営・管理」の在留資格に該当しません。
実質的に外国人が次の活動に参画する必要があります。
役員に就任しているだけでは、「経営・管理」ビザの在留資格に該当するものとはいえません。
審査要領には、「経営・管理」ビザの在留資格に該当するか否か次のように類型化しています。
日本において適法であれば、事業の業種に貿易会社、飲食店、中古自動車販売店、不動産業等制限はありません。
事業の経営をしなければならず、多額の資金を投資をすれば、「経営・管理」ビザが得られるということはありません。
日本に「投資」ビザはないのです。
事業の経営に従事する活動には、
等に従事する代表取締役、取締役、監査役等の役員としての活動があげられます。
ちなみに「貿易」とありますが、これは例示になります。
「当該事業の管理に従事する」とは
をいいます。
事業の管理に従事する活動には、事業の管理の業務に従事する
等の管理者としての活動が該当します。
在留期間中に正当な理由なく長期間の出国をしていた場合は、「経営・管理」活動の実態がないものとして、在留期間更新許可は認められません。
「経営・管理」のビザが欲しいあまり、名ばかりのなんちゃって経営は許されないということです。
国税、地方税、健康保険等を適切に納付していることが必要です。
申請する外国人が日本法人の経営者に就任し、かつ日本法人から報酬が支払われる場合は、経営等に関する会議、連絡業務等で短期間来日するときでは「短期滞在」ビザでの来日はできません。「経営・管理」ビザになりますので注意が必要です。

上陸許可基準とは、在留資格該当性があると考えられる外国人が、ビザ申請の際に、満たしていなければならない要件(基準)であり、基準に適合しているかどうかを意味します。
「経営・管理」ビザの審査基準(上陸許可基準適合性)は、入管法の基準省令には以下のように定義されています。
(第1号)
申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。 ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業として使用する施設が本邦に確保されていること。
(第2号)
申請に係る事業の規模が次のいずれにも該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する常勤の職員(法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 申請に係る事業の用に供される財産の総額(資本金の額及び出資の総額を含む。)が3000万円以上であること。
(第3号)
申請に係る事業の経営を行い、又は当該事業に従事する者(非常勤の者を除く。)のうちいずれかの者が、高度に自立して日本語を理解し、使用することができる水準以上の能力を有している者であって、かつ、申請人が当該事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する時において、本邦に居住することとしているものであること。
(第4号)
次のいずれかに該当していること。
イ 経営管理に関する分野又は申請に係る事業の業務に必要な技術若しくは知識に係る分野において博士の学位、修士の学位又は専門職学位(学位規則(昭和28年文部省令第9号)第5条の2に規定する専門職学位をいい、外国において授与されたこれに相当する学位を含む。)を有していること。
ロ 事業の経営又は管理について3年以上の経験(特定活動の在留資格(法第7条第1項第2号の告示で定める活動のうち本邦において貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動を含む活動を指定されたものに限る。)をもって本邦に在留していた期間がある場合には、当該期間を含む。)を有していること。
(第5号)
申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。【上陸基準省令の「経営・管理」の項の下欄】
「経営・管理」ビザの要件は、以下の5つの要件に改正されました。
上記の5つの要件だけでなく、「事業計画書」についても厳格に求められることになりました。
在留資格の決定時において提出する「事業計画書」について、その計画に具体性、合理性が求められ、かつ、実現可能なものであると表かされる必要があります。
「事業計画書」は、経営に関する専門的な知識を有する以下の者の確認が必須になります。
また当然ではありますが、許可や届出の必要な業種を経営する場合、事業を営むために必要な許認可などの取得も必要です。
申請者が営む事業に係る許認可の取得状況などを証する資料の提出が求められます。
ただし、在留許可を受けてからでないと許認可の取得ができない場合は、「正当な理由がある」として、次回の在留期間更新の申請時に提出する必要があります。
参照:許可や届出の必要な業種
(第1号)の「事業所の確保」要件は、外国人が経営し又は管理に従事する事業が、日本国内に事業所を確保して営まれるものであることを要件としており、次の両方を満たしていることが必要になります。
すなわち、確保する必要がある事業所とは
等をいいます。
月単位の短期間賃貸スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等の施設を利用したりする場合には、それを合理的とする特別の事情がない限り 「事業所の確保・存在」の要件に適合しているとは認められません。
事業所は、賃貸物件が一般的でありますが、賃貸借契約書において、その使用目的が
等と記載がないと認められません。
もし使用目的が、「居住用」となっている場合、不許可となる可能性があります。
住所及び雷話番号等を借り受け、電話にはオペレーターが対応し、郵便物を転送するなど、いわゆる「バーチャルオフィス」等は、事業所として認められませんので注意が必要です。
レンタルオフィスの場合、個室となっておらず、独立性が確保されていなければ許可がされません。
簡単なパーティーションのみの区切りである場合には独立性が認められません。
改正前は自宅の一部を事業所として利用することが認められてきましたが、改正後は規模に応じた経営活動を行う必要性のため、自宅を事業所と兼ねることは、原則認められないことになりました。
(第2号)の「事業の規模」要件は、外国人が経営又は管理に従事する事業の「規模」について定めたものであり、資本要件と常勤職員の雇用要件のいずれも該当することが必要です。
申請者が営む会社等において、1人以上の常勤職員を雇用することが必要になります。
「常勤職員」の対象は、次のいずれかの者になります。
※「就労系」ビザの在留資格をもって在留する外国人は対象となりません。
事業が会社形態で営まれる場合を前提とする規定であり、株式会社における払込済資本の額(資本金の額)又は合名会社、合資会社又は合同会社の出資の総額が3000万円以上が必要です。
実質的な資本金または出資の存在が必要です。
いわゆる「見せ金」でないことが求められます。
また出資したお金は、外国人または外国法人が現に投資している場合、もしくは日本人または日本法人のみが投資している場合も認められます。
株式会社における払込済資本の額(資本金の額)又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の出資の総額をさします。
事業所の確保や雇用する職員の給与(1年間分)、設備投資経費など事業を営むために必要なものとして投下されている総額をさします。
申請者又は常勤職員のいずれかが相当程度の日本語能力を有することが求められます。
また申請人が原則日本に居住していることが求められるようになりました。
在留期間中、正当な理由なく⾧期間の出国を行っていた場合は、日本における活動実態がないものとして在留期間更新許可は認められないことになりました。
例えば、移住目的でペーパーカンパニーを作り日本に長期間居住しない外国人の方は認められないことになりました。
法別表第一(「就労系」ビザ)の在留資格をもって在留する外国人も含まれます。
B2相当以上の日本語能力であり、日本人又は特別永住者の方以外については、以下のいずれかに該当することが必要です。
申請者が、経営管理又は申請に係る事業の業務に必要な技術又は知識に係る分野に関する博士、修士若しくは専門職の学位を取得していること、又は、事業の経営又は管理について3年以上の職歴があることが求められます。
外国において授与されたこれに相当する学位を含みます。
在留資格「特定活動」に基づく、貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動(起業準備活動)の期間を含みます。
外国人の方が事業の管理に従事する場合は、日本人と同額以上の「報酬」が必要です。

在留期間更新時には、以下の公租公課の支払い義務の履行状況がチェックされます。
例えば、風俗営業店、飲食店、中華料理店、インド料理店、タイ料理店、リサイクル販売業など制限がありません。
外国人または外国法人が現に投資しているもののみでなく、日本人若しくは日本法人のみが投資しているものであってもよい。
経営・管理業務に従事する活動をしつつ、臨時的に現業に従事することは、「経営・管理」の在留資格の活動に含まれますが、日常的に現業に従事するものと認められる場合は、「経営・管理」の在留資格に該当しません。
「経営・管理」における事業は、営利を目的としないものであっても、外国又は外国の地方公共団体(地方政府を含む)の機関の事業として行われる場合であっても問題ありません。
共同で事業を起こした2名の外国人が、他に従業員がいない状況で、2名とも役員に就任するような場合は、それぞれの外国人が従事しようとする具体的な活動の内容から総合的に審査されます。
2名の外国人が共同で事業をする場合、両名が役員に就任しても、実質的に2名が経営または管理に参画する活動をしなければ、「経営・管理」ビザに該当しません。
実質的に2名の外国人が次の活動に参画する必要があります。
複数の者が事業の経営又は管理に従事している場合には、それだけの人数の者が事業の経営又は管理に従事することが必要とされる程度の事業規模、 業務量、売上、従業員数等がなければならず、これらから総合的に判断をします。
「経営・管理」の改正後は、正当な理由なく長期間の出国を行っていた場合は、「経営・管理」の活動実態がないものとして、在留期間更新許可が認められないことになりました。
「常勤の職員」の対象は、日本人、特別永住者及び法別表第二の在留資格をもって在留する外国人(「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」)に限られます。
いわゆる「就労」ビザをもって在留する外国人は対象になりません。
2028年10月16日までの間に在留期間更新許可申請を行う場合は、改正後の許可基準に適合しない場合でも、今後、許可基準に適合する見込みがある場合は、許可される可能性があります。
しかし、2028年10月16日以降に在留期間更新許可申請をする場合は、改正後の基準に適合しない場合は、不許可になります。
投資は次の者ができます。
入国しようとする外国人が勤務する日本の事業所の職員の方が申請できます。
また会社を設立する場合は、会社設立について委託を受けている方が申請できます。
事業の規模や業務量などから判断して、2人とも事業の経営をする合理的な理由がないと難しいです。
また二人の役割分担が明確かどうか。そして二人とも相当の報酬の支払いを受けるかどうかの要件を満たす必要があります。
認められないです。
改正前は自宅の一部を事業所として利用することが認められてきましたが、改正後は規模に応じた経営活動を行う必要性のため、自宅を事業所と兼ねることは、原則認められないことになりました。
残念ながら「経営・管理」ビザの取得はできません。
諸外国のような多額な資産を投資(不動産購入等)をしてビザがもらえる制度は、日本にありません。
「経営・管理」ビザは、文字通り、実質的に経営をするまたは管理をする必要があります。
法人の登記が完了していない場合は、法人の登記が予定されている「定款その他の当該法人を設立しようとしていることが明らかな書類の写し」の立証資料にて可能になる場合があります。
なおこの場合、在留期間が「4月」になる可能性が高いです。
賃貸借契約の締結が未完了の場合は、「事業所の概要を明らかにする資料」の立証資料により可能になる場合があります。
具体的には、賃貸を検討している物件の概要(場所、広さ、賃料等が記載されている)書類の提出が必要です。
なおこの場合、在留期間が「4月」になる可能性が高いです。
法人の登記が完了していないために、法人の登記事項証明書の写しが提出できない場合は、「定款その他法人を設立しようとしていることを明らかにする書類の写し」により、代用することができる場合があります。
なおこの場合、在留期間が「4月」になる可能性が高いです。
在留期間更新時には、以下の公租公課の支払い義務の履行状況がチェックされます。
納税や各種の公的義務を利用していない場合は、義務不履行の様態を勘案され、在留期間更新の許可がされない可能性があります。
適法に行われる業務であれば、活動の業種に制限はありません。
「経営・管理」ビザを申請するために必要な書類は経営・管理ビザの必要書類に記載しています。