「経営・管理ビザ」を持った在留外国人の人数
2022年12月 | |||
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経営・管理ビザ | 31,808人 |
経営・管理ビザは、外国人が会社事業の経営や管理業務に従事することができるようにするために設けられた在留資格です。
経営・管理ビザは、日本において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動になります。
経営・管理ビザのおおまかなイメージは
になります。
具体的には、
などです。
経営・管理ビザの在留期間は、5年、3年、1年、6月、4月又は3月のいずれかになります。
今までは「投資・経営」という名称でしたが、平成2 6年の法改正により「経営・管理」という名称に改められました。
「投資・経営」の在留資格は、「経営・管理」の在留資格と異なり、外国人が我が国に投資していることを前提とするものでした。
平成2 6年の法改正により外国人または外国法人が現に投資しているだけでなく、日本人若しくは日本法人のみが投資しているものであっても良いようになりました。
経営・管理ビザの場合、ビザ(在留資格)だけの話で終わりません。
会社設立からビザの申請まで一貫した手続きを考える必要があります。
このようなことを考えると他のビザよりも難易度が高いビザになります。
会社の概要を決める必要があります。
社名、事業目的、所在地、資本金の額、役員構成など基本事項を決定します。
また出資者の印鑑証明書を取得する必要があります。
会社の基本事項を決めたら、事務所の契約をする必要があります。
まだ会社設立前なので、事務所の契約は個人名義になります。
事務所の契約は注意が必要です。「経営・管理ビザ」には事務所要件がありますので、要件をクリアする事務所の契約が必要になります。
例えば、自宅を事務所にするとか、バーチャルオフィスまたはシェアオフィス等を事務所にすることは、要件をクリアしない場合がありますので、注意が必要です。
定款とは、いわば会社の憲法にあたり非常に重要な取り決めになります。
絶対に記載しないといけない事項は
になります。
公証人の認証(チェック)を受けます。
定款が法律上問題ないか、公証人のチェックを受ける必要があります。
定款の認証後、資本金の払い込みをします。
まだ会社は設立完了していないので、代表者個人の銀行口座に資本金を振込みます。
資本金払込後、本店所在地を管轄する法務局にて会社設立の登記申請を行います。
登記が完了するのに2~3週間かかります。
会社の設立が完了したので、ようやく事務所の賃貸借契約の名義人の変更をします
個人→法人へ変更
外国人本人または税理士による所轄税務署へ法人開設届出が必要です。
開業にあたり必要な許認可等あれば、許認可申請が必要になります。
例えば
が必要になります。
ここでようやく「経営・管理ビザ」申請をします。
最近、経営・管理ビザの審査がかなり厳しくなっており、ビザの許可が下りるまでかなりの日数がかかります。
経営・管理ビザの許可が出て、ようやく日本でビジネスがスタートできます。
「経営・管理ビザ」を取得で終わりません。
ここからが経営者してのスタートになります。
法人口座の開設したり社会保険の加入が必要になります。
法人設立したら、健康保険と厚生年金は強制加入になります。
また将来的に「永住者ビザ」を検討しているのであれば、社会保険の支払いは、必須の事項になります。また報酬額も月額25万円は最低でも満たす必要があります。
経営・管理ビザを取得といっても、ビザ取得だけでなく、様々な手続きを終えて、ようやく経営がスタートできる流れになります。
会社を始めるだけでも大変なのに、外国人の場合ビザ取得もしないといけないのでハードルの高さがうかがえます。
なお、当事務所では、会社設立の手続きもサポートさせていただいております。
くわしくはこちらのホームページを参照してください。https://startup.tokyo.jp/
「経営・管理ビザ」はいったいどのような活動が該当するのか?
「経営・管理ビザ」に定められた活動に該当することを「在留資格該当性」といいます。
まず「経営・管理ビザ」を取得するためには、在留資格該当性を満たさないとなりません。
「経営・管理ビザ」の在留資格該当性は一体どのような活動に該当することをいうのか?
入管法の別表第1の2の表の項の下欄は、本邦において行うことができる活動を以下のとおり規定しています。
【入管法別表第1の2の表の経営・管理の項の下欄】
本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うごとができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)
外国人が事業をする場合、単に役員に就任しても、実質的に経営または管理に参画する活動をしなければ、「経営・管理ビザ」に該当しません。
実質的に外国人が次の活動に参画する必要があります。
役員に就任しているということだけでは、「経営・管理ビザ」の在留資格に該当するものとはいえません。
審査要領には次のように類型化しています。
日本において適法であれば、事業の業種に貿易会社、飲食店、中古自動車販売店、不動産業等制限はありません。
事業の経営をしなければならず、多額の資金を投資をすれば、経営・管理ビザが得られるということはありません。
日本には投資ビザはないのです。
事業の経営に従事する活動には、
等に従事する代表取締役、取締役、監査役等の役員としての活動があげられます。
ちなみに「貿易」とありますが、これは例示になります。
事業の管理に従事する活動には、事業の管理の業務に従事する
等の管理者としての活動が該当します。
外国人が経営・管理の業務に実質的に参画し、又は従事するものでなければなりません。
「経営・管理」のビザが欲しいあまり、名ばかりのなんちゃって経営は許されないということです。
上陸許可基準とは、在留資格該当性があると考えられる外国人が、ビザ申請の際に、満たしていなければならない基準であり、基準に適合しているかどうかを意味します。
では、ビザ申請の際に満たしていなければならない基準とは?
どのような基準なのだろうか?
入管法の基準省令には以下のように定義されています。
【上陸基準省令の経営・管理の項の下欄】
第1号
申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。 ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業として使用する施設が本邦に確保されていること。
第2号
申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ、その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤の職員(法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるも のであること。
ロ、資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
ハ、イ又は口に準ずる規模であると認められるものであること。
第3号
申請人が事業の管理に従事しようとする場合は、事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
外国人が経営し又は管理に従事する事業が、日本国内に事業所を確保して営まれるものであることを要件としており、次の両方を満たしていることが必要になります。
すなわち、確保する必要がある事業所とは?
等をいいます。
月単位の短期間賃貸スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等の施設を利用したりする場合には、それを合理的とする特別の事情がない限り 「事業所の確保・存在」の要件に適合しているとは認められません。
事業所は、賃貸物件が一般的でありますが、賃貸借契約書において、その使用目的が、「事業用」、「店舗」、「事務所」等と記載がないと認められません。
もし使用目的が、「居住用」となっている場合、不許可となる可能性があります。
住所及び雷話番号等を借り受け、電話にはオペレーターが対応し、郵便物を転送するなど、いわゆる「バーチャルオフィス」等は、事業所として認められませんので注意が必要です。
レンタルオフィスの場合、個室となっていて、独立性が確保されていなければ許可がされません。
簡単なパーティーションのみの区切りである場合には独立性が認められません。
が求められます。
第2号は、外国人が経営又は管理に従事する事業の「規模」について定めたものであり、人数要件、資本要件のいずれかに該当することが必要です。
経営又は管理に従事する外国人以外に、下記の日本に住んでいる常勤の職員が2名以上必要です。
事業が会社形態で営まれる場合を前提とする規定であり、株式会社における払込済資本の額(資本金の額)又は合名会社、合資会社又は合同会社の出資の総額が500万円以上が必要です。
実質的な資本金または出資の存在が必要です。
いわゆる「見せ金」でないことが求められます。
また出資したお金は、外国人または外国法人が現に投資している場合、もしくは日本人または日本法人のみが投資している場合も認められます。
人数要件または資本要件に準ずる規模であることを要件としています。
第3号は、外国人が事業の管理に従事する場合に適用される基準を定めています。
両方の要件が必要です。
例えば、風俗営業店、飲食店、中華料理店、インド料理店、タイ料理店、リサイクル販売業など制限がありません。
外国人または外国法人が現に投資しているもののみでなく、日本人若しくは日本法人のみが投資しているものであってもよい。
経営・管理業務に従事する活動をしつつ、臨時的に現業に従事することは、「経営・管理」の在留資格の活動に含まれますが、日常的に現業に従事するものと認められる場合は、「経営・管理」の在留資格に該当ししません。
「経営・管理」における事業は、営利を目的としないものであっても、外国又は外国の地方公共団体(地方政府を含む。)の機関の事業として行われる場合であっても問題ありません。
共同で事業を起こした2名の外国人が、他に従業員がいない状況で、2名とも役員に就任するような場合は、それぞれの外国人が従事しようとする具体的な活動の内容から総合的に審査されます。
2名の外国人が共同で事業をする場合、両名が役員に就任しても、実質的に2名が経営または管理に参画する活動をしなければ、「経営・管理ビザ」に該当しません。
実質的に2名の外国人が次の活動に参画する必要があります。
複数の者が事業の経営又は管理に従事している場合には、それだけの人数の者が事業の経営又は管理に従事することが必要とされる程度の事業規模、 業務量、売上、従業員数等がなければならず、これらから総合的に判断をします。
出入国管理局のホームページより引用
(事例1)経営・管理ビザが許可
Aは、本邦において個人経営の飲食店を営むとして在留資格変更許可申請を行ったが、事務所とされる物件に係る賃貸借契約における使用目的が「住居」とされていたものの、貸主との間で「会社の事務所」として使用することを認めるとする特約を交わしており、事業所が確保されていると認められたもの。
(事例2)経営・管理ビザが許可
Bは、本邦において水産物の輸出入及び加工販売業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったところ、本店が役員自宅である一方、支社として商工会所有の物件を賃借していたことから、事業所が確保されていると認められたもの。
(事例3)経営・管理ビザが許可
Cは、本邦において株式会社を設立し、販売事業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが、会社事務所と住居部分の入り口は別となっており、事務所入り口には、会社名を表す標識が設置されていた。また、事務所にはパソコン、電話、事務机、コピー機等の事務機器が設置されるなど事業が営まれていることが確認され、事業所が確保されていると認められたもの。
(事例4)経営・管理ビザが不許可
Dは、本邦において有限会社を設立し、当該法人の事業経営に従事するとして在留期間更新許可申請を行ったが、事業所がDの居宅と思われたことから調査したところ、郵便受け、玄関には事業所の所在を明らかにする標識等はなく、室内においても、事業運営に必要な設備・備品等は設置されておらず、従業員の給与簿・出勤簿も存在せず、室内には日常生活品が有るのみで事業所が確保されているとは認められなかったもの。
(事例5)経営・管理ビザが不許可
Eは、本邦において有限会社を設立し、総販売代理店を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが、提出された資料から事業所が住居であると思われ、調査したところ、2階建てアパートで郵便受け、玄関には社名を表す標識等はなかったもの。また、居宅内も事務機器等は設置されておらず、家具等の一般日常生活を営む備品のみであったことから、事業所が確保されているとは認められなかったもの。
(事例6)経営・管理ビザが不許可
Fは、本邦において有限会社を設立し、設計会社を営むとして在留資格変更許可申請を行ったが、提出された資料から事業所が法人名義でも経営者の名義でもなく従業員名義であり同従業員の住居として使用されていたこと、当該施設の光熱費の支払いも同従業員名義であったこと及び当該物件を住居目的以外での使用することの貸主の同意が確認できなかったことから、事業所が確保されているとは認められなかったもの。
(事例1)経営・管理ビザが許可
外国人A及びBがそれぞれ500万円出資して、本邦において輸入雑貨業を営む資本金1,000万円のX社を設立したところ、Aは、通関手続をはじめ輸出入業務等海外取引の専門家であり、Bは、輸入した物品の品質・在庫管理及び経理の専門家である。Aは、海外取引業務の面から、Bは、輸入品の管理及び経理面から、それぞれにX社の業務状況判断し、経営方針については、共同経営者として合議で決定することとしている。A及びBの報酬は、事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。
(事例2)経営・管理ビザが許可
外国人C及びDがそれぞれ600万円及び800万円を出資して、本邦において運送サービスを営む資本金1,400万円のY社を設立したところ、運送サービスを実施する担当地域を設定した上で、C及びDがそれぞれの地域を担当し、それぞれが自らの担当する地域について、事業の運営を行っている。Y社全体としての経営方針は、C及びDが合議で決定することとし、C及びDの報酬は、事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。
(事例1)経営・管理ビザが許可
当該企業の直近期決算書によると、当期損失が発生しているものの、債務超過とはなっていない。また、同社については第1期の決算である事情
にも鑑み、当該事業の継続性があると認められたもの。
(事例2)経営・管理ビザが不許可
当該企業の直近期決算書によると、売上総損失(売上高-売上原価)が発生していること、当期損益は赤字で欠損金もあり、また、欠損金の額は資本金の約2倍が発生していることから、当該事業の継続性を認められなかったもの
「経営・管理ビザ」に係る
を行う場合に出入国在留管理局に提出する立証資料については
「経営・管理ビザの必要書類」のページを参照してください。
「経営・管理ビザ」の事業の規模要件は次のいずれかに該当する必要があります。
「準ずる規模」とは、事業の規模が実質的に❶又は❷と同等な規模が必要です。
❶に準ずる規模とは、例えると、常勤職員1人しか従事していないような場合に、もう一人を従事させるのに要する費用(おおよそ250万円程度)を投下して営まれているような事業の規模が必要です。
❷に準ずる規模とは、例えば、外国人が個人事業の形態で事業を開始しようとする場合に、500万円以上を投資して営まれているような事業の規模がこれに当たります。この場合の500万円の投資とは、当該事業を営むのに必要なものとして投下されている総額であり、例えば事業所の確保や雇用する職員の給与等、その他事務機器の購入経費等の目的で投下されているものがこれに当たります。
入国しようとする外国人が勤務する日本の事業所の職員の方が申請できます。
また会社を設立する場合は、会社設立について委託を受けている方が申請できます。
事業の規模や業務量などから判断して、2人とも事業の経営をする合理的な理由がないと難しいです。
また二人の役割分担が明確かどうか。そして二人とも相当の報酬の支払いを受けるかどうかの要件を満たす必要があります。
認められないです。
自宅兼オフィスですが、出入口が、住宅用と事務所用に別々にあれば、要件を満たします。しかし、入口が一つで独立した事業所のスペースが存在しない、事実上自宅だけの場合は、認められません。また屋台も事業所が移動するので、要件を満たしません。
個室となっていて、独立性があるのであれば、認められます。
残念ながら「経営・管理ビザ」の取得はできません。
諸外国のような多額な資産を投資(不動産購入等)をしてビザがもらえる制度は、日本にありません。
「経営・管理ビザ」は、文字通り、実質的に経営をするまたは管理をする必要があります。