技能ビザ

「技能」ビザとは、日本の経済社会や産業の発展に貢献すると言う考え基づいて、日本人では代替できない産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を有する外国人を受け入れるために設けられた在留資格です。

在留資格「技能」 (Skilled Labor Visa)


「技能」ビザとは

「技能」ビザは、日本人の代替が難しい「産業上の特殊な分野」において、熟練した技能(熟練技術)を持つ外国人プロフェッショナルを受け入れるために設けられた就労ビザです。


実務上、取得者の大半が外国料理のコック(調理師)であるため、通称「コックビザ」や「料理人ビザ」とも呼ばれています。


「技能」ビザをもって在留する外国人の人数
外食産業や各種専門分野での需要の高まりを背景に、在留人数は年々増加しています。

VISA 2022年12月末 2023年12月末 2024年12月末 2024年12月末
技能ビザ 39,775人 42,499人 46,712人 54,574人


対象となる具体的な職種(熟練技能者)

「技能」ビザの対象となるのは、長年の実務経験や専門トレーニングによって培われた高度な技能を要する以下のような職種です。

  • 飲食・調味関連:外国料理の調理師(中華料理、インド料理、イタリア料理、フレンチなどのコック)、パティシエ、ソムリエ
  • 建築・工芸関連:外国様式建築の施工技能者、外国特有製品の製造・修理職人、貴金属・宝石・毛皮等の加工職人
  • スポーツ・動物関連:スポーツ指導者(インストラクター・コーチなど)、動物の調教師
  • その他専門分野:航空機のパイロット、石油探査・地熱開発等の技術者


在留期間について
「技能」ビザで許可される在留期間は、契約期間や事業の安定性・継続性等に応じて、以下の4つのいずれかが決定されます。

  • 5年、3年、1年、3ヶ月

技能の在留資格該当性

「技能」ビザを取得するための第一歩は、入管法が定める「在留資格該当性」を満たすことです。これは、「日本で行おうとする活動が、法律上の『技能』ビザの対象に当てはまっているか」という条件のことです。


入管法では、このビザで認められる活動を次のように規定しています。

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動

【入管法別表第1の2の表の「技能」の項の下欄】

わかりやすく言うと、「日本の企業や店舗(公私の機関)と契約を結び、日本人では代替が難しい特殊な分野で、長年の経験に裏打ちされた高度な技術・技能を発揮して働くこと」が条件となります。


審査で重要な2つのキーワード

「技能」ビザの審査では、特に以下の2つの概念が厳しくチェックされます。


1. 「産業上の特殊な分野」とは?

国内の技術者・労働者との過度な競合を避け、日本人での代替が困難な分野に限定するための要件です。具体的には、以下のいずれかに該当する分野を指します。

  • 外国に特有の産業分野(外国料理の調理、外国特有の製品製造など)
  • 日本よりも外国の技能水準が高い産業分野(パイロット、特定のスポーツ指導など)
  • 日本国内においてその技能を持つ者が非常に少ない産業分野(貴金属加工、動物調教など)

このように、対象となる分野が厳格に限定されているため、「技能」ビザの該当範囲は非常に狭くなっています。


2. 「熟練した技能を要する」とは?

単にマニュアル通りに行える業務や、短期間の練習で習得できるような作業(単純労働)とは明確に区別されます。


個人が長年の実務やトレーニング等の「経験の蓄積」によって身につけた、熟練の域にある専門技術や知識を必要とする業務であることが求められます。


【補足】「特定技能」ビザとの決定的な違い

「技能」ビザと名称が似ている在留資格に「特定技能」ビザがあります。これらは制度の目的や求められるハードルが大きく異なります。


「技能」ビザ

  • 目的: 代替困難な特殊分野のスペシャリストを受け入れる
  • 特徴: 長年の実務経験(原則10年以上など)に裏打ちされた「熟練技術」が必須。


「特定技能」ビザ

  • 目的: 国内の深刻な人手不足を解消する
  • 特徴: 一定の技能試験・日本語試験に合格すれば、実務経験が短くても即戦力として受け入れ可能。

技能の要件(上陸許可基準適合性)

「技能」ビザを取得するためには、対象となる熟練業務であること(在留資格該当性)に加えて、法律で定められた「上陸許可基準」を満たす必要があります。


審査基準(上陸許可基準適合性)は、入管法の基準省令には以下のように定義されています。

申請人が次のいずれかに該当し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。


(第1号)【調理師】
料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者で、次のいずれかに該当するもの(第9号に掲げる者を除く。)

  • イ 当該技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者
  • ロ 経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定附属書7第1 (C)の規定の適用を受ける者


(第2号)【建築技術者】
外国に特有の建築又は土木に係る技能について10年(当該技能を要する業務に10年以上の実務経験を有する外国人の指揮監督を受けて従事する者の場合にあっては、5年)以上の実務経験(外国の教育機関において当該建築又は土木に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの


(第3号)【外国特有製品の製造 ・ 修理】
外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該製品の製造又は修理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの


(第4号)【宝石 ・ 貴金属 ・ 毛皮加工】
宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの


(第5号)【動物の調教】
動物の調教に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において動物の調教に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの


(第6号)【石油・地熱等掘削調査】
石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの


(第7号)【航空機操縦士】
航空機の操縦に係る技能について250時間以上の飛行経歴を有する者で、航空法(昭和27年法律第231局)第2条第17項に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事するもの


(第8号)【スポーツ指導者】
スポーツの指導に係る技能について3年以上の実務経験(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含む。)を有する者若しくはこれに準ずる者として法務大臣が告示をもって定める者で、当該技能を要する業務に従事するもの又はスポーツの選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことがある者で、当該スポーツの指導に係る技能を要する業務に従事するもの


(第9号)【ワイン鑑定等】
ぶどう酒の品質の鑑定、評価及び保持並びにぶどう酒の提供(以下 「ワイン鑑定等」 という。)に係る技能について5年以上の実務経験(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する次のいずれかに該当する者で、当該技能を要する業務に従事するもの

  • イ ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下 「国際ソムリエコンクール」という。)において優秀な成績を収めたことがある者
  • ロ 国際ソムリエコンクール(出場者が1国につき1名に制限されているものに限る。)に出場したことがある者
  • ハ ワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む。)若しくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含む。)又はこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者

【上陸基準省令の「技能」の項の下欄】

具体的には、すべての申請者に共通する「報酬要件」と、9つの職業ごとに細かく定められた「実務経験などの要件」の両方をクリアしなければなりません。


全職種共通の要件(報酬要件)

【日本人と同等額以上の報酬(給与)を受けること】
日本で就労するにあたり、「日本人が同じ職場で同じ業務に従事する場合に受け取る報酬と同等額以上」の給与を受け取ることが必須です。
※ここでの「報酬」とは基本給や賞与などを指し、通勤手当や住宅手当などの実費弁償的な手当は含まれません。


職業別の要件(第1号〜第9号)

入管法では、対象となる9つの職業ごとに必要な実務経験年数等が規定されています。


【実務経験に関する重要ポイント】

外国の教育機関でその技術に関連する科目を専攻した期間は「実務経験」に含めることができます。しかし、日本の専門学校(専修学校)を卒業して「専門士」の称号を取得しても、実務経験年数の緩和(短縮)にはならないため、注意が必要です。


第1号:外国料理の調理師(コック・パティシエ)

最も申請件数が多い、いわゆる「コックビザ」です。中華料理、フランス料理、インド料理などの調理師や、点心、外国菓子のパティシエなどが該当します。(※ラーメンなど、外国発祥であっても日本で既に一般化しているものは対象外です。)

  • 基本要件:「10年以上」の実務経験があること。
  • 【特例】タイ料理人の場合(日タイEPA):タイ労働省が発行する技能証明書(初級以上)を保有し、直近1年間にタイで妥当な報酬を受けていた実績がある場合は、実務経験「5年以上」に短縮されます。


タイ人料理人の要件

日タイEPA により、実務経験年数が5年以上に短縮されます。

  • タイ料理人として、技能水準が初級以上の証明書(タイ労働省が発行するタイ料理人としての技能水準に関する証明書)を取得していることが必要です。
  • 日本へ入国および一時的な滞在の申請を行った日の直前の1年間にタイにおいてタイ料理人として妥当な報酬を受けており又は受けていたことが必要です。


「経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定附属書7第1 (C)の規定」とは

  1. タイ料理に関する専門的な技能を必要とする活動であって、出入国管理及び難民認定法でその範囲が定められている「技能」の在留資格に基づくもの。ただし、当該活動に従事する自然人が次の要件を満たすことを条件とする。
  2. タイ料理人として5年以上の実務経験を有していること(タイ労働省が発行するタイ料理人としての技能水準に関する証明書を取得するための要件を満たすために教育機関において教育を受けた期間を含む。)。
  3. 初級以上のタイ料理人としての技能水準に関する証明書を取得していること。
  4. 日本国への入国及び一時的な滞在に係る申請を行った日の直前の1年の期間に、タイにおいてタイ料理人として妥当な額の報酬を受けており、又は受けていたことがあること。

【日タイEPA附属書第七一部A第五節1(C)】


「妥当な額の報酬」とは

「妥当な額の報酬」とは、日本国の当局が毎年計算するタイ国内のすべての産業における被用者の平均賃金額を超える額の報酬又はこれに相当するもの(現金によるものに限る。)であって、タイ情報技術通信省国家統計局が公表する労働力調査において示される入手可能な最新の統計資料に基づくものを言います。


第2号:外国特有の建築・土木技術者

ゴシック建築、ロマネスク建築、ツーバイフォー(枠組壁工法)など、日本にはない外国特有の建築・土木技能を持つ技術者が該当します。

  • 基本要件:「10年以上」の実務経験があること。
  • (※10年以上の経験を持つ外国人の指揮監督下で働く場合は「5年以上」に短縮。)


第3号:外国特有製品の製造・修理職人

ヨーロッパ特有のガラス製品やペルシャ絨毯など、日本にはない製品の製造や修理を行う職人が該当します。

  • 基本要件:「10年以上」の実務経験があること。


第4号:宝石・貴金属・毛皮の加工職人

原石や動物から製品を作る過程も含め、宝石や毛皮の加工技術を持つ職人が該当します。

  • 基本要件:「10年以上」の実務経験があること。


第5号:動物の調教師

動物の調教に関する専門技能を持つ者が該当します。

  • 基本要件:「10年以上」の実務経験があること。


第6号:石油・地熱等の掘削調査技術者

石油探査の海底掘削、地熱発電のための掘削、海底地質調査などの技能を持つ者が該当します。

  • 基本要件:「10年以上」の実務経験があること。


第7号:航空機のパイロット(操縦士)

定期運送用、事業用などの技能証明を持ち、航空運送事業の機長または副操縦士として乗務する者が該当します。

  • 基本要件:「250時間以上」の飛行経歴があること。


第8号:スポーツ指導者(監督・コーチ・インストラクター)

スポーツの指導を行う者が該当します。(※プロチームの監督等として選手に随伴して試合に出場する場合は「興行」ビザになります。)

  • 基本要件:以下のいずれかに該当すること。

    1. 「3年以上」の実務経験(プロとして報酬を受けて競技に従事した期間を含む)があること。
    2. オリンピックや世界選手権などの国際的な競技会に出場した経験があること。
    3. 国際スキー教師連盟(ISIA)発行のカードを保有していること(※この場合は3年の実務経験がなくても可)。

※野球、サッカーなどチームで必要とするプロスポーツの監督、コーチ等でチームと一体として出場しプロスポーツの選手に随伴して入国し在留する活動については 「興行ビザ」に該当します。


これに準ずる者として法務大臣が告示をもって定める者とは

国際スキー教師連盟(ISIA)が発行する(ISIA)カードの交付を受けている者をいいます。


国際スキー教師連盟(ISIA)が発行する(ISIA)カードの交付を受けている者、いわゆるスキーインストラクターの場合、スポーツの指導に係る3年以上の実務経験がない場合でも、スキー指導に係る技能について国際スキー教師連盟(ISIA)が発行する(ISIA) カードの交付を受けている者は、審査基準を満たしている者として認められます。


なお、公益社団法人日本プロスキー教師協会(SIA)が認定する資格を保有するまたはこれと同等以上と認めるスキーの指導に関する資格を有する場合は、特定活動(告示50号)のスキーインストラクタービザがあります。


第9号:ソムリエ(ワイン鑑定等)

ワインの鑑定、選定、仕入れ、保管から提供までを総合的に行うソムリエが該当します。(※店舗にはソムリエが専門業務に専念できるよう、ウェイターや食器洗いなどの専従スタッフが別にいることが求められます。)

  • 基本要件:「5年以上」の実務経験があり、かつ以下のいずれかに該当すること。

    1. 国際ソムリエコンクールで優秀な成績を収めた、または1国1名制限の国際コンクールに出場した経験があること。
    2. 国や地方公共団体等が認定する、法務大臣指定のソムリエ資格を持っていること。





「技能」ビザを申請するために必要な書類は技能ビザの必要書類に記載しています。




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