「技能ビザ」を持った在留外国人の人数
VISA | 2022年12月 | 2023年12月 | |
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技能ビザ | 39,775人 | 42,499人 |
「技能ビザ」とは、日本の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動を行うための在留資格です。
「技能ビザ」のは、日本の経済社会や産業の発展に貢献すると言う考え基づいて、日本人では代替できない産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を有する外国人を受け入れるために設けられた在留資格です。
「技能ビザ」は、又の名を「コックビザ」とも言われており、主に外国料理のコック(調理師)の料理人として招へいされるケースが多いです。
「技能ビザ」は、熟練した技能を要する業務に従事する外国人が取得する在留資格です。
技能ビザ(VISA)の在留期間は、5年、3年、1年又は3月のいずれかになります。
「技能ビザ」を申請するために必要な書類は技能ビザの必要書類に記載しています。
「技能ビザ」に定められた活動に該当することを「在留資格該当性」といいます。
まず「技能ビザ」を取得するためには、在留資格該当性を満たさないとなりません。
入管法別表第1の2の表の「技能」の項の下欄は、日本において行うことができる活動を以下のとおり規定していいます。
【入管法別表第1の2の表の「技能」の項の下欄】
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動
「産業上の特殊な分野」とは、外国に特有または外国において日本よりも高い水準にある産業分野の他、その技能を有する者が日本には少数しかいない産業分野になります。
「産業上の特殊な分野」とは次の通りです。
「産業上の特殊な分野」とは、すなわち国内の技能者との競合回避等のため、その技能が日本において一般的でない分野に属するものに限定されています。
「技能」の在留資格は、日本人との非代替性または代替困難性が求められています。その結果、「技能」の在留資格の対象となる者の範囲は狭く限定されています。
一方「技能」」の在留資格と違い、「特定技能」の在留資格は、人手不足の観点から技能就労者の受入範囲の拡大が図られています。
「熟練した技能を要する」とは、個人が自己の経験の集積によって有することとなった熟練の域にある技能を必要とすることを意味します。
特別な技能や判断等を必要としない機械的な作業である単純労働と区別されています。
上陸許可基準適合性とは、在留資格該当性があると考えられる外国人が、申請の際に、満たしていなければならない要件(基準)であり、基準に適合しているかどうかを意味します。
審査基準(上陸許可基準適合性)は、入管法の基準省令には以下のように定義されています。
【入管法別表第1の2の表の「技能」の項の下欄】
申請人が次のいずれかに該当し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
第1号(調理師)
料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者で、次のいずれかに該当するもの(第9号に掲げる者を除く。)
- イ 当該技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者
- ロ 経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定附属書七第1 (C)の規定の適用を受ける者
第2号(建築技術者)
外国に特有の建築又は土木に係る技能について10年(当該技能を要する業務に10年以上の実務経験を有する外国人の指揮監督を受けて従事する者の場合にあっては、5年)以上の実務経験(外国の教育機関において当該建築又は土木に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
第3号(外国特有製品の製造 ・ 修理)
外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該製品の製造又は修理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
第4号(宝石 ・ 貴金属 ・ 毛皮加工)
宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
第5号(動物の調教)
動物の調教に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において動物の調教に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
第6号(石油・地熱等掘削調査)
石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
第7号(航空機操縦士)
航空機の操縦に係る技能について250時間以上の飛行経歴を有する者で、航空法(昭和27年法律第231局)第2条第17項に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事するもの
第8号(スポーツ指導者 )
スポーツの指導に係る技能について3年以上の実務経験(外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含む。)を有する者若しくはこれに準ずる者として法務大臣が告示をもって定める者で、当該技能を要する業務に従事するもの又はスポーツの選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他 の国際的な競技会に出場したことがある者で、当該スポーツの指導に係る技能を要する業務に従事するもの
第9号(ワイン鑑定等)
ぶどう酒の品質の鑑定、評価及び保持並びにぶどう酒の提供(以下 「ワイン鑑定等」 という。)に係る技能について5年以上の実務経験(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する次のいずれかに該当する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
- イ ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下 「国際ソムリエコンクール」という。)において優秀な成績を収めたことがある者
- ロ 国際ソムリエコンクール(出場者が1国につき1名に制限されているものに限る。)に出場したことがある者
- ハ ワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む。)若しくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含む。)又はこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者
「技能ビザ」は、具体的な職種が限定列挙されている点が特徴的な在留資格です。
また、それぞれにおいて経験等を年数や時間で規定している点が特徴的です。
「技能」の在留資格を申請する外国人が受ける報酬について、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であることを要件として定めています。
報酬とは、「一定の役務の給付の対価として与えられる反対給付」。
すなわち基本給や賞与等です。
通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するものは含みません。
いわゆる「コック」ビザです。
「技能ビザ」を申請するほとんどの外国人が、第1号のコックビザを申請します。
料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され、日本において特殊なものを要する業務に従事する者で、次のいずれかに該当するもの(第9号に掲げる者を除く。)になります。
具体的には、中華料理やフランス料理等の外国料理のコックとして業務に必要とされる技能や、外国菓子など食品の製造コックとしての業務に必要とされる技能があげられます。
ただし、ラーメンのように外国に起源があるとしても日本において特殊なものとは言えないものは、含まれません。
例えば、中国料理、フランス料理、インド料理等の調理師や「点心」、パン、デザート等の食品を製造する調理師やパティシエ等がこれに該当します。
外国の教育機関において、当該料理の調理や食品の製造に係る科目を専攻して教育を受けた期間が含まれます。
ただし、日本の専修学校の専門課程を修了し、「専門士」の称号を有している者であっても実務要件の緩和にはなりませんので注意が必要です。
日タイEPAにより実務経験年数が短縮されます。
タイ料理人として、技能水準が初級以上の証明書を取得していることが必要です。
日本へ入国および一時的な滞在の申請を行った日の直前の1年間にタイにおいてタイ料理人として妥当な報酬を受けており又は受けていたことが必要です
外国に特有の建築又は土木に係る技能について10年以上の実務経験を有する者で、当該技能を要する業務に従事するものになります。
ただし、当該技能を要する業務に10年以上の実務経験を有する外国人の指揮監督を受けて従事する者の場合にあっては5年になります。
この実務経験には外国の教育機関において当該建築又は土木に係る科目を専攻した期間を含めてよいです。
※日本の専修学校の専門課程を修了し、「専門士」の称号を有している者であっても実務要件の緩和にはなりませんので注意が必要です。
例えば、ゴシック、ロマネスク、バロ ック方式又は中国式、韓国式などの建築、土木に関する技能で、日本にはない建築、土木に関する技能をいいます。
また枠組壁工法や輸入石材による直接貼り付け工法なども含まれます。
外国に特有の製品の製造又は修理に係る技能について10年以上の実務経験を有する者で、当該技能を要する業務に従事するものになります。
この実務経験には、外国の教育機関において当該製品の製造又は修理に係る科目を専攻した期間を含めてもよいです。
ただし、日本の専修学校の専門課程を修了し、「専門士」の称号を有している者であっても実務要件の緩和にはなりませんので注意が必要です。
ヨーロッパ特有のガラス製品ペルシア絨毯など、日本にはない製品の製造又は修理に係る技能をいいます。
宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能について10年以上の実務経験を有する者で、当該技能を要する業務に従事するものになります。
この実務経験には、外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含めてもよいです。
ただし、日本の専修学校の専門課程を修了し、「専門士」の称号を有している者であっても実務要件の緩和にはなりませんので注意が必要です。
宝石及び毛皮については、宝石や毛皮を用いて製品を作る過程のみならず、原石や動物から宝石や毛皮を作る過程を含まれます。
動物の調教に係る技能について10年以上の実務経験を有する者で、当該技能を要する業務に従事するものになります。
この実務経験には外国の教育機関において動物の調教に係る科目を専攻した期間を含めてもよいです。
ただし、日本の専修学校の専門課程を修了し、「専門士」の称号を有している者であっても実務要件の緩和にはなりませんので注意が必要です。
石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る技能について10年以上の実務経験を有する者で、当該技能を要する業務に従事するものになります。
地熱開発のための掘削とは、地熱発電に使用する蒸気を誘導するために掘削された井戸及び発電に使用した蒸気及び熱水を地下に戻すために掘削された井戸を掘削する作業をいいます。
この実務経験には、外国の教育機関において石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る科目を専攻した期間を含めてもよいです。
ただし、日本の専修学校の専門課程を修了し、「専門士」の称号を有している者であっても実務要件の緩和にはなりませんので注意が必要です。
航空機の操縦に係る技能について250時間以上の飛行経歴を有する者で、航空法に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事する必要があります。
パイロット(機長又は副操縦士)として業務に従事できる技能証明を所持する者であっても、飛行経歴が250時間未満の者については在留資格「技能」に関する基準に適合しません。
定期運送用操縦士、事業用操縦士又は準定期運送用操縦士のいずれかの技能証明を有し、機長又は副操縦士として業務に従事する者になります。
第8号(スポーツ指導者)は、スポーツの指導を行う者が対象になります。
スポーツ指導者として、次のいずれかに該当する者が対象になります。
この実務経験には、外国の教育機関において当該スポーツの指導に係る科目を専攻した期間及び報酬を受けて当該スポーツに従事していた期間を含めてもよいです。
ただし、日本の専修学校の専門課程を修了し、「専門士」の称号を有している者であっても実務要件の緩和にはなりませんので注意が必要です。
在留資格「技能」の外国人スキーインストラクターはスポーツの指導に係る3年以上の実務経験がない場合でも、スキー指導に係る技能について国際スキー教師連盟(ISIA)が発行するISIAカードの交付を受けている者は、審査基準を満たしている者として認められます。
なお、公益社団法人日本プロスキー教師協会(SIA)が認定する資格を保有するまたはこれと同等以上と認めるスキーの指導に関する資格を有する場合は、特定活動(告示50号)のスキーインストラクタービザがあります。
※野球、サッカーなどチームで必要とするプロスポーツの監督、コーチ等でチームと一体として出場しプロスポーツの選手に随伴して入国し在留する活動については 「興行ビザ」に該当します。
ブドウ酒の品質の鑑定、評価及び保持並びにブドウ酒の提供に係る技能について5年以上の実務経験を有する次のいずれかに該当する者で、当該技能を要する業務に従事するものになります。
この実務経験には、外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を含めてもよいです。
ただし、日本の専修学校の専門課程を修了し、「専門士」の称号を有している者であっても実務要件の緩和にはなりませんので注意が必要です。
第9号(ワイン鑑定等)とは、いわゆるソムリエのことで、業務的にはテイスティングのみならず、ワイン選定、仕人れ、保管、販売、管理等ワインに係る幅広い業務を行う必要があります。
「ブドウ酒の品質の鑑定、評価及び保持並びにぶどう酒の提供に係る技能」とは、これらすべての技能を有するものであることを要し、従事しようとする業務については、それらのうちのいずれかの業務を行うものであればよいです。
さらに、飲食店舗には、ソムリエ以外に
など専従のスタッフが確保されていることを要します。
本邦の公私の機関との契約とは、雇用契約が一般的ですが、他にも、継続的に見込まれるのであれば、委任、委託、嘱託等の契約も含まれます。
特定の機関(複数でもOK)との継続的なものでなければなりません。
ちなみに、本邦の公私の機関には、法人だけでなく、個人事業主でも問題ありません。