高度専門職1号ビザ

「高度専門職1号」ビザとは、高度の専門的な能力を有する外国人材の受け入れを促進するために、他の一般的な就労資格よりも活動制限を緩和した在留資格になります。

在留資格「高度専門職1号」 (highly-skilled-professionals1)



「高度専門職1号」ビザとは

「高度専門職1号」ビザは、高度な専門能力を持つ優秀な外国人材の受け入れを促進するために、一般的な就労ビザよりも多くの優遇措置(メリット)を付与した特別な在留資格です。


参照:「高度専門職2号」ビザはこちらを参照してください。


「学歴」「職歴」「年収」「研究実績」などの項目ごとにポイントが設定されており、合計が70点以上に達した方に許可されます。


「高度専門職」ビザをもって在留する外国人の人数
近年、「高度専門職」ビザで日本に滞在する外国人は増加傾向にあります。

VISA 2022年12月末 2023年12月末 2024年12月末 2025年12月末
高度専門職1号(イ) 2,030人 2,281人 2,528人 2,842人
高度専門職1号(ロ) 13,972人 17,978人 21,094人 23,108人
高度専門職1号(ハ) 1,116人 2,219人 3,338人 4,971人
高度専門職2号 1,197人 1,480人 1,748人 2,032人
合計人数 18,315人 23,958人 28,708人 32,953人


3つの区分と「ポイント制度」の仕組み

「高度専門職1号」は、日本で行う活動内容に合わせて以下の3つ(イ・ロ・ハ)に区分されています。

  • 高度専門職1号(イ):高度学術研究活動(大学教授、研究者など)
  • 高度専門職1号(ロ):高度専門・技術活動(ITエンジニアなど、高度な知識や技術を要する業務)
  • 高度専門職1号(ハ):高度経営・管理活動(企業の経営者、管理者など)


【重要】ポイントが高いだけでは取得できません

「高度専門職」ビザは、「ポイントが高い人」に無条件で与えられるものではありません。大前提として、日本で行う業務が高度な知識や技術を必要とする活動(一般的な就労ビザの基準を満たす活動)であることが必要です。その上でポイントが70点以上ある場合に、優遇措置の対象としてこのビザが付与されます。


ポイント計算の例(経営支援ソフトの開発業務に従事する場合)

項目 例 点数
年齢 30歳 10点
年収 600万円 20点
学歴 外国の大学卒業で修士号MBAを取得 25点
職歴 IT関連7年 15点
ポイント合計 70点


「高度専門職1号」の7つのメリット(優遇措置)

「高度専門職1号」ビザを取得すると、出入国在留管理上の様々な優遇措置を受けることができます。在留期間は一律で法律上の最長期間である「5年」が付与されます。(※将来的に「高度専門職2号」へ移行すると在留期間は「無期限」となります)


1.複合的な在留活動の許容

  • 通常は1つのビザにつき1つの活動しかできませんが、高度専門職では複数の就労活動を掛け持ちすることが認められます。

2.在留期間「5年」の付与

  • 初回の許可から、いきなり最長の「5年」の在留期間が決定されます。

3.在留歴に係る永住許可要件の緩和

  • (※下記で詳しく解説)

4.配偶者の就労

  • 一定の要件を満たせば、配偶者も就労がしやすくなる特例があります。

5.親の帯同

  • 世帯年収や子育てなどの一定の条件の下、本人や配偶者の親を日本に呼ぶことができます。

6.家事使用人(メイド)の帯同

  • 世帯年収などの一定の条件の下、外国で雇用していた家事使用人を引き続き雇用したり、日本で新たに雇用したりすることができます。

7.入国・在留手続の優先

  • 処理出入国在留管理局での審査が、他のビザ申請よりも別枠で優先的(スピーディ)に処理されます。


日本版グリーンカード:永住許可要件の大幅緩和

通常、日本で永住許可を取得するためには「原則10年以上の在留」が必要です。しかし、高度外国人材には特例が設けられており、必要な在留期間が大幅に短縮されます。


70点以上の方:3年で永住申請が可能

  • 高度外国人材として3年以上継続して活動している場合、または申請の3年前の時点で70点以上のポイントを有していたことが証明できる場合は、3年で永住許可の対象となります。

80点以上の方:1年で永住申請が可能

  • 特に高度と認められる(80点以上の)方は、1年以上継続して活動している場合、または申請の1年前の時点で80点以上を有していたことが証明できる場合は、わずか1年で永住許可の対象となります。

特別高度人材(J-Skip):1年で永住申請が可能

  • 特別高度人材省令に規定される高い基準を満たして入国した方は、1年で永住許可の対象となります。


注意すべき唯一のデメリット(転職時の手続き)

非常にメリットの多い「高度専門職1号」ビザですが、「本人が所属する機関(会社など)」が指定されているという点に注意が必要です。


転職をして働く会社が変わる場合、たとえ同じ職種・同じ業務内容であったとしても、事前の「在留資格変更許可申請」が必須となります。転職先の会社を基準に改めてポイント計算等の審査を受ける必要があるためです。


手続きを行わずに転職先で就労を続けると「資格外活動(不法就労)」となってしまうため、転職の際は必ず事前にご相談ください。


高度専門職1号の在留資格該当性

「高度専門職1号」の条件(在留資格該当性)とは?

出入国管理及び難民認定法(入管法)では、「高度専門職1号」ビザで行うことができる活動を次のように規定しています。

高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次の(イ)から(ハ)までのいずれかに該当する活動であつて、我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの


(イ)法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動


(ロ)法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学若しくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動


(ハ)法務大臣が指定する本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動

【入管法別表第1の2の表の「高度専門職」の項の下欄】

「高度専門職1号」ビザを取得するための第一歩は、入管法が定める「在留資格該当性」を満たすことです。これは、「あなたが日本で行う予定の活動が、法律上の『高度専門職1号』の要件に当てはまっているか」という条件のことです。


このビザは、日本経済や学術研究の発展に貢献する「高度な専門能力を持つ外国人材」を受け入れるためのものであり、活動内容に応じて(イ)、(ロ)、(ハ)の3つの区分に分かれています。


【重要】70点以上のポイントと「年収300万円」の壁

すべての区分において、学歴・職歴・年収などの「ポイント計算」を行い、合計が70点以上であることが大前提となります。


さらに、(ロ)および(ハ)の区分については、「年収が300万円以上」であることが必須条件です。たとえポイントが70点以上あっても、年収が300万円未満の場合は「高度外国人材」とは認められませんのでご注意ください。


3つの活動区分と具体的な対象者

ご自身の活動が以下のどの区分に当てはまるかをご確認ください。


1. 高度専門職1号(イ):高度学術研究活動

日本の公私の機関(大学や企業など)との契約に基づき、研究、研究の指導、または教育を行う活動です。

  • 主な対象者:相当程度の研究実績を持つ研究者、科学者、大学教授など
  • 該当する標準ビザ:「教授」「研究」など
  • (イ)ならではの特例・ポイント:

    • 「教授」ビザ等とは異なり、活動場所が教育機関に限定されません(例:民間企業の社内研修で教育を行う活動も対象になります)。
    • メインの機関で働きながら、別の機関とも契約して研究や教育を行うこと(副業的な活動)が認められます。


2. 高度専門職1号(ロ):高度専門・技術活動

日本の公私の機関との契約に基づき、自然科学や人文科学の専門的な知識・技術を要する業務に従事する活動です。

  • 主な対象者:ITエンジニアなどの高度な技術者、医師、弁護士など
  • 該当する標準ビザ:「技術・人文知識・国際業務」「医療」「法律・会計業務」など
  • (ロ)ならではの特例・ポイント:

    • 注意点として、一般的な「技術・人文知識・国際業務」ビザに含まれる「国際業務(翻訳・通訳など)」の部分は対象外となります。これは、文化的な感受性などをポイントで客観的に評価することが難しいためです。


3. 高度専門職1号(ハ):高度経営・管理活動

日本の公私の機関において、事業の経営や管理に従事する活動です。

  • 主な対象者:相当規模の企業の経営者(社長・役員)、管理者などの上級幹部
  • 該当する標準ビザ:「経営・管理」など
  • (ハ)ならではの特例・ポイント:

    • 一般的な「経営・管理」ビザと異なり、株式会社などの営利企業だけでなく、「営利を目的としない機関(NPO法人など)」の経営・管理活動も行うことができるようになります。


全区分共通の特例:「関連する事業の経営」が認められます

「高度専門職1号」の大きなメリットとして、上記のメインの活動(イ・ロ・ハ)を行いながら、「その活動に関連する事業を自ら立ち上げて経営すること」が認められています。


【具体例】

  • 研究者(イ)が、自身の研究成果を活かしてベンチャー企業を立ち上げる。
  • IT企業の役員(ハ)が、関連するIT子会社を設立して経営する、または同業他社の社外取締役を兼任する。


【注意点】

  • あくまで「メインの活動と併せて行うこと」が条件です。メインの活動(本来の仕事)を辞めて、付帯する経営活動だけを行うことはできません。
  • メインの活動との「関連性」が必要です。例えば、ITエンジニアやIT企業の役員が、全く関係のない「飲食店」を経営することは対象外となります。

高度専門職1号の要件(上陸許可基準適合性)

上陸許可基準適合性とは、在留資格該当性があると考えられる外国人が、ビザ申請の際に、満たしていなければならない要件(基準)であり、基準に適合しているかどうかを意味します。


審査基準(上陸許可基準適合性)は、入管法の基準省令には以下のように定義されています。

申請人が出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(平成26年法務省令第37号)第1条第1項に掲げる基準に適合することのほか、次の各号のいずれにも該当すること。


(第1号)
次のいずれかに該当すること。
イ 本邦において行おうとする活動が法別表第1の1の表の教授の項から報道の項までの下欄に掲げる活動のいずれかに該当すること。
口 本邦において行おうとする活動が法別表第1の2の表の「経営・管理」の項から「技能」の項までの下欄に掲げる活動のいずれかに該当し、かつ、この表の当該活動の項の下欄に掲げる基準に適合すること。


(第2号)
本邦において行おうとする活動が我が国の産業及び国民生活に与える影密等の観点から相当でないと認める場合でないこと。

【上陸基準省令の「高度専門職1号」の項の下欄】


「高度専門職1号」の許可要件(上陸許可基準適合性)とは

「高度専門職1号」ビザを取得するためには、前述の活動内容(在留資格該当性)に加えて、法律で定められた「上陸許可基準」に適合している必要があります。


簡単に言うと、単に「ポイントが70点以上ある」というだけでなく、「ベースとなる一般的な就労ビザの基準をクリアしており、日本の産業や治安にも問題がないこと」が求められます。


具体的には、入管審査において以下の3つの条件をすべてクリアする必要があります。


条件1:ポイント基準を満たしていること(ポイント70点以上)

  • ポイント計算表に基づき、合計70点以上を獲得していること。
  • 「高度専門職1号(ロ)」および(ハ)の場合は、年収が300万円以上であること。


条件2:ベースとなる「一般的な就労ビザ」の要件を満たしていること

「高度専門職」ビザは、まったく新しい独立したビザではなく、既存の就労ビザがベース(下地)になっています。そのため、ベースとなるビザの条件や基準も同時に満たしていなければなりません。


【ベースとなる主な就労ビザ(14種類)】

  • 学術・教育系:教授、研究、教育
  • 専門職・技術系:技術・人文知識・国際業務、医療、法律・会計業務、企業内転勤、介護
  • 経営・その他:経営・管理、芸術、宗教、報道、興行、技能

例えば、「高度専門職1号(ロ)」を申請する場合、基本となる「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」などの要件(実務経験や学歴要件など)もクリアしている必要があります。


条件3:日本の産業や国民生活に悪影響を与えないこと

申請者が日本で行おうとする活動が、日本の産業界や国民生活、社会秩序などに問題を与えないこと(国益に適合していること)が求められます。


具体的には、以下のような観点から総合的に判断されます。

  • 労働市場への影響:日本人の雇用機会や労働条件を不当に阻害しないか
  • 治安・社会秩序:日本の公共の安全や社会の秩序を脅かすおそれがないか
  • 対外関係・教育:外交上の配慮や日本の教育環境に悪影響を与えないか

永住権申請の「空白」が許されない時代へ

高度人材ポイント制度の厳格に審査されることになりました。


外国人の方にとって、「永住者」への最短ルートである「高度人材ポイント制度」です。


通常、永住申請には10年の在留期間が必要ですが、この特例を使えば「3年(70点以上)」または「1年(80点以上)」という驚異的なスピードで申請が可能でした。


しかし、2024年(令和6年)および2025年(令和7年)のガイドライン改訂により、この「最短ルート」のハードルが劇的に高くなりました。


今、何が起きているのかを詳しく解説します。

1  「点」から「線」へ。審査基準の抜本的変化

これまでの実務では、ポイントの判定は以下の「二つの点」で満たしていれば概ね認められるという解釈が一般的でした。

  • 申請する時点(今、何点あるか)
  • 3年前(または1年前)の時点(当時、何点あったか)


しかし、最新のガイドラインではこれが「期間中、常に(線で)維持していること」という非常に厳しい要件に変わりました。


2 「うっかり失格」を招く、ポイント変動の罠

「ずっと同じ会社にいるから大丈夫」という考えは禁物です。


ポイントは、本人の努力や状況とは無関係に、時の経過とともに減少するリスクがあります。


典型的な「不許可」のケース
例えば、70点の要件で「3年ルート」を目指す方がいたとします。

  • 1年目:75点(34歳・年収600万円など)
  • 2年目:65点にダウン(35歳になり年齢ポイントが減少、さらに残業減で年収が微減)
  • 3年目:70点(昇進して年収が上がり、ポイントが回復)


旧来の運用であれば、1年目と3年目が基準を超えていれば「許可」の可能性がありました。


しかし新ルールでは、2年目に「一瞬でも」基準を割った期間があるため、その時点で3年間のカウントはリセットされ、申請要件を満たさないと判断されます。


3  「立証責任」はすべて申請者側に

この「維持要件」の恐ろしいところは、「ずっとポイントを維持していたこと」を、客観的な書類ですべて証明しなければならない点です。

  • 課税証明書:給与明細: 期間中の年収が常に基準を維持していたか
  • 雇用契約書:職歴の算定に空白はないか
  • 年齢の推移:加齢によるポイント減少を、他の項目(年収アップや資格取得など)でカバーできていたか


これらを月単位・年単位で緻密にトラッキングし、入管に対して「一点の疑いもない証明」を行う必要があります。


4 専門家による「継続的モニタリング」の必要性

現在の永住申請は、「申請書を出すときだけ頑張る」のでは不十分です。

  • 将来の年齢上昇を見越したキャリア設計
  • 為替レートやボーナス変動による年収リスクの管理
  • 予期せぬポイント減少に備えた「予備ポイント」の確保


このように、数年先を見据えた「ポイントの保守管理」が不可欠となっています。


当事務所では、高度人材特例での永住を目指す方のために、定期的なポイント診断や必要書類の事前チェック、維持要件のモニタリング支援を行っております。


「自分のポイントが今、本当に維持できているのか不安だ」「将来の申請に向けて、今のうちから対策を打ちたい」という方は、ぜひ一度、専門家による無料相談をご活用ください。





「高度専門職1号」ビザを申請するために必要な書類は高度専門職1号の必要書類に記載しています。




当事務所では、これらの複雑な基準をお客様にわかりやすくご説明し、現在の状況を正確に診断した上で、安心できるビザ申請(在留手続き)をサポートしております。
ご不安な点があれば、ぜひ一度ご相談ください。




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