「研修」ビザを持った在留外国人の人数
VISA | 2022年12月 | 2023年12月 | |
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研修ビザ | 497人 | 714人 |
「研修」ビザとは、本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動をするために設けられた在留資格です。
研修生は、研修終了後帰国し、研修により修得した技能などをそれぞれの国において活用し、母国の経済に貢献することが期待されています。
そのような趣旨があるので、研修終了後、日本において引き続き就労することは原則認められません。
「留学」ビザの活動に似ていますが、教育機関で学ぶ場合は、「留学」ビザになります。
また、「研修」と「技能実習」は技能等を修得する活動に従事する点は同じですが、
と大きな違いがあります。
「研修」ビザの在留期間は、1年、6月又は3月のいずれかになります。
「研修」の在留期間は原則として、1年間までですが、1年を超える研修を実施することに合理的な理由がある場合は、2年まで認められます。
「研修」ビザに定められた活動に該当することを「在留資格該当性」といいます。
まず「研修」ビザを取得するためには、在留資格該当性を満たさないとなりません。
入管法の別表第1の4の表の「研修」項の下欄は、本邦において行うことができる活動を以下のとおり規定しています。
本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(2の表の技能実習1号、この表の留学の項に掲げる活動を除く。)
【入管法別表第1の4の表の「研修」の項の下欄】
「研修」ビザに該当する活動は、日本の公私の機関に受け入れられて行う技能等の修得をする活動です。
具体的には、実務作業を行わない研修や、国・地方公共団体が実施する研修または独立行政法人などの資金により運営される事業として行われる研修など、技能等の修得をする活動が該当します。
「研修」ビザの該当例は、研修生になります。
「研修」の在留資格は、非就労資格であり、日本の公私の機関に受け入れられて技能、技術または知識を学ぶ外国人が対象になります。
「研修」ビザの具体的な活動は、次の機関において、公私の機関に受け入れられて、技能等を修得することです。
上陸許可基準適合性とは、在留資格該当性があると考えられる外国人が、申請の際に、満たしていなければならない要件(基準)であり、基準に適合しているかどうかを意味します。
「研修」ビザの審査基準(上陸許可基準適合性)は、入管法の基準省令には以下のように定義されています。
(1号) 申請人が修得しようとする技能等が同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと。
(2号) 申請人が18歳以上であり、かつ、国籍又は住所を有する国に帰国後本邦において修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること。
(3号) 申請人が住所を有する地域において修得することが不可能又は困難である技能等を修得しようとすること。
(4号) 申請人が受けようとする研修が研修生を受け入れる本邦の公私の機関(以下「受入れ機関」という。)の常勤の職員で修得しようとする技能等について5年以上の経験を有するものの指導の下に行われること。
(5号) 申請人が本邦において受けようとする研修の中に実務研修(商品の生産若しくは販売をする業務又は対価を得て役務の提供を行う業務に従事することにより技能等を修得する研修(商品の生産をする業務に係るものにあっては、生産機器の操作に係る実習(商品を生産する場所とあらかじめ区分された場所又は商品を生産する時間とあらかじめ区分された時間において行われるものを除く。)を含む。)をいう。第8号において同じ。)が含まれている場合は、次のいずれかに該当していること。
イ 申請人が、我が国の国若しくは地方公共団体の機関又は独立行政法人が自ら実施する研修を受ける場合
ロ 申請人が独立行政法人国際観光振興機構の事業として行われる研修を受ける場合
ハ 申請人が独立行政法人国際協力機構の事業として行われる研修を受ける場合
ニ 申請人が独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構技術センターの事業として行われる研修を受ける場合
ホ 申請人が国際機関の事業として行われる研修を受ける場合
ヘ イからニに掲げるもののほか、申請人が我が国の国、地方公共団体又は我が国の法律により直接に設立された法人若しくは我が国の特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人若しくは独立行政法人の資金により主として運営される事業として行われる研修を受ける場合で受入れ機関が次のいずれにも該当するとき。
- (1) 研修生用の宿泊施設を確保していること(申請人が受けようとする研修の実施についてあっせんを行う機関(以下この号及び次号において「あっせん機関」という。)が宿泊施設を確保していることを含む。)。
- (2) 研修生用の研修施設を確保していること。
- (3) 申請人の生活の指導を担当する職員を置いていること。
- (4) 申請人が研修中に死亡し、負傷し、又は疾病に罹患した場合における保険(労働者災害補償保険を除く。)への加入その他の保障措置を講じていること(あっせん機関が当該保障措置を講じていることを含む。)。
- (5) 研修施設について労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)の規定する安全衛生上必要な措置に準じた措置を講じていること。
ト 申請人が外国の国若しくは地方公共団体又はこれらに準ずる機関の常勤の職員である場合で受入れ機関がヘの(1)から(5)までのいずれにも該当するとき。
チ 申請人が外国の国又は地方公共団体の指名に基づき、我が国の国の援助及び指導を受けて行う研修を受ける場合で次のいずれにも該当するとき。
- (1) 申請人が外国の住所を有する地域において技能等を広く普及する業務に従事していること。
- (2) 受入れ機関がヘの(1)から(5)までのいずれにも該当すること。
(6号) 受入れ機関又はあっせん機関が研修生の帰国旅費の確保その他の帰国担保措置を講じていること。
(7号) 受入れ機関が研修の実施状況に係る文書を作成し、研修を実施する事業所に備え付け、当該研修の終了の日から1年以上保存することとされていること。
(8号) 申請人が本邦において受けようとする研修の中に実務研修が含まれている場合は、当該実務研修を受ける時間(2以上の受入れ機関が申請人に対して実務研修を実施する場合にあっては、これらの機関が実施する実務研修を受ける時間を合計した時間)が、本邦において研修を受ける時間全体の3分の2以下であること。ただし、申請人が、次のいずれかに該当し、かつ、実務研修の時間が本邦において研修を受ける時間全体の4分の3以下であるとき又は次のいずれにも該当し、かつ、実務研修の時間が本邦において研修を受ける時間全体の5分の4以下であるときは、この限りでない。
- イ 申請人が、本邦において当該申請に係る実務研修を4月以上行うことが予定されている場合
- ロ 申請人が、過去6月以内に外国の公的機関又は教育機関が申請人の本邦において受けようとする研修に資する目的で本邦外において実施した当該研修と直接に関係のある研修(実務研修を除く。)で、1月以上の期間を有し、かつ、160時間以上の課程を有するもの(受入れ機関においてその内容が本邦における研修と同等以上であることを確認したものに限る。)を受けた場合
【上陸基準省令の「研修」の項の下欄】
「研修」ビザの要件は、上陸基準省令に規定する次の(1号)~(8号)までになります。
反復する場合であっても手足を動かすなどによって完結する場合は、この(1号)の要件には該当しません。
単純な反復作業により技能等を修得するような研修は、日本でわざわざ学ぶ必要はないという理由かだからです。
18歳以上の外国人が、帰国後、日本において学んだ技能等を要する業務に従事することが予定されていることが必要です。
日本で学んだ技能などの技能移転を図るために設けられた在留資格だからなのです。
外国人が修得しようとする技能等が、自国において修得が可能であれば、日本においてわざわざ研修を受ける必要性はないという趣旨です。
言い換えると日本でこそ学ぶべき理由があるからです。
研修指導員の直接的な指導まで求めてはいません。
外部の講師などの指導も含まれます。
また研修指導員の5年以上の経験年数は、他の機関での経験も通算できます。
「独立行政法人国際観光振興機構の事業として行われる研修」には、フィリピン人船員(航海士・機関士)の育成を目的とする外国人乗務員研修事業があります。
「我が国の法律により直接に設立された法人若しくは我が国の特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人」とは、いわゆる特殊法人のことを言います。
具体的には、次のような特殊法人が該当します。
研修生の帰国に支障がないよう、受入機関が、帰国費用の全額を負担する必要があります。
また受入機関が倒産などにより帰国費用が捻出できないことを防ぐため、入国した当初から帰国費用を確保しているかどうか指導されます。
「研修の実施状況に係る文書」とは、例えば次のような文書をいいます。
研修が終了した日から少なくても1年間は文書の保存が必要です。
実務研修が含まれる研修は、原則として、実務研修の時間が研修全体の時間の3分の2以下となる必要あります。
というのは、実務研修は、労働力の提供を伴うものであり、就労活動と似ています。
そのため、実務研修の研修の時間を研修時間全体の3分の2以下にしています。
8号「ただし書き」は、一定の場合に緩和するものです。
ただし、実務研修の時間を伸ばすという趣旨ではなく、実務研修の時間が水増しした申請がされないよう求められる要件となっています。
8号「ただし書き」は、次のいずれかに該当する場合は、それぞれの実務研修の時間を以下の割合まで緩和することができます。
「研修」ビザを申請するために必要な書類は研修ビザの必要書類に記載しています。