本邦大学等卒業者およびその配偶者ビザ (Japanese university graduates Visa)

本邦大学等卒業者ビザ(告示46号)は、日本の大学を卒業した者が、日本語を用いて円滑なコミュニケーションを行いながら現業業務に従事することが認められた在留資格になります。

特定活動(告示46号) 本邦大学等卒業者

 

 

特定活動 告示46号・本邦大学等卒業者ビザとは

「特定活動 告示46号・本邦大学等卒業者ビザ」を持った在留外国人の人数

2022年12月
本邦大学等卒業者ビザ 798人
本邦大学等卒業者の家族ビザ 176人

 

「告示46号・本邦大学等卒業者ビザ」とは、留学生の就職できる幅を広げるために2019年5月に新設された、新しい在留資格です。

 

日本の大学を卒業した者が、日本語を用いて、「技術・人文知識・国際業務ビザ」ではできない、就職の機会を拡大するための在留資格になります。

 

技術・人文知識・国際業務ビザ」では、サービス業である飲食店や小売店、製造業で作業員として、いわゆる現場ので作業「現業」をすることができませんでした。

 

そこで、経済界の要請により、日本の大学を卒業したものが、円滑な日本語を用いて、飲食店や小売店で働くことができる「特定活動の告示46号・本邦大学卒業者」の在留資格が新設されました。

 

今後、告示46号・本邦大学卒業者ビザが増えるものと予想されます。

 

 

特定活動(告示46号)ビザは、「技術・人文知識・国際業務ビザ」に該当しない活動を行うことができるのが特長です。

 

※「技術・人文知識・国際業務ビザ」では、一般的なサービスや製造業務等が主たる活動として認められない在留資格です。

 

特定活動(告示46号)本邦大学等卒業者等ビザは、例えば次のような活動を行うことができる在留資格です。

  1. 飲食店の接客スタッフ
  2. 工場のラインスタッフ
  3. コンビニエンスストア等の小売店における販売スタッフ
  4. ホテルや旅館等のスタッフ
  5. タクシードライバー
  6. 介護スタッフ

今までにできないこと(現場での作業)ができるようになりましたので、非常に注目されているビザです。

 

というのは、特定活動(告示46号)ビザは自然科学の分野もしくは人文科学の分野に属する技術もしくは知識または外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務が要件となっていません。

 

そのため「技術・人文知識・国際業務ビザ」に比べ人材要件のハードルがそれほどまで高くない在留資格だからです。

 

ただし、特定活動(告示46号)ビザは常勤の職員(フルタイム)として、日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事する活動が含まれている必要があります。


本邦大学等卒業者ビザの在留資格該当性

「本邦大学等卒業者ビザ」はいったいどのような活動が該当するのか?

 

「本邦大学卒業者ビザ」に定められた活動に該当することを「在留資格該当性」といいます。

 

まず「本邦大学卒業者ビザ」を取得するためには、在留資格該当性を満たさないとなりません。

 

別表第11に掲げる要件のいずれにも該当する者が、法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて、当該機関の常勤の職員として行う当該機関の業務に従事する活動(日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事するものを含み、風俗営業活動及び法律上資格を有する者が行うこととされている業務に従事するものを除く。)

 

 

法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて、当該機関の常勤の職員として行う当該機関の業務に従事する活動であって、日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務を含む活動です。

 

※ただし、風俗営業活動及び法律上資格を有する者が行うこととされている業務(いわゆる業務独占資格が必要な業務)を除くものになります。

 

「法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて」とは?

法務大臣が指定するとは、勤務先が指定されることです。

 

勤務先が指定されるので、派遣社員として、派遣先で就業はできません。

 

また転職する場合は、「技術・人文知識・国際業務ビザ」と違い、在留資格変更許可申請をする必要があります。

 

「当該機関の常勤の職員として」とは?

  • 「当該機関の常勤の職員として行う当該機関の業務に従事する活動」であることから、フルタイムの職員としての稼働に限られ、短時間のパートタイムやアルバイトは対象になりません。
  • 契約機関の業務に従事する活動のみが認められ、派遣社員として派遣先において就労活動を行うことはできません。
  • 契約機関が適切に雇用管理を行っている必要があることから、社会保険の加入状況等についても、必要に応じ確認を求められます。

 

「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」とは?

「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」とは次のような業務になります。

  • 日本語を活用し、他者との双方向のコミュニケーションを要する業務
  • 通訳を兼ねた外国人観光客対応や、日本語能力が低い他の外国人従業員に対する指導などが含まれる業務

になります。

単に雇用主からの作業指示や日本語で記載された業務マニュアル等を理解して行うだけの業務では、円滑な意思疎通を要する業務とはなりません。


本邦大学等卒業者ビザの条件

 

特定活動 告示46号・本邦大学等卒業者ビザ(VISA)をするには4つの要件を満たした人材である必要があります。

 

入管法には以下のように4つの要件が定められています。

【別表第11】
一 次のいずれかに該当していること。

 

  • イ 本邦の大学(短期大学を除く。以下同じ。)を卒業して学位を授与されたこと。
  • ロ 本邦の大学院の課程を修了して学位を授与されたこと。
  • ハ 本邦の短期大学(専門職大学の前期課程を含む。)又は高等専門学校を卒業した者(専門職大学の前期課程にあっては、修了した者)で、大学設置基準(昭和三十一年文部省令第二十八号)第三十一条第一項の規定による単位等大学における一定の単位の修得又は短期大学若しくは高等専門学校に置かれる専攻科のうち独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が定める要件を満たすものにおける一定の学修その他学位規則(昭和二十八年文部省令第九号)第六条第一項に規定する文部科学大臣の定める学修を行い、かつ、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が行う審査に合格して、学士の学位を授与されたこと。
  • ニ 本邦の専修学校の専門課程の学科(専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定に関する規程(令和五年文部科学省告示第五十三号)第二条第一項の規定により文部科学大臣の認定を受けたものに限る。)を修了し、専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規程(平成六年文部省告示第八十四号)第三条の規定により、高度専門士と称することができること。

 

二 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

 

三 日常的な場面で使われる日本語に加え、論理的にやや複雑な日本語を含む幅広い場面で使われる日本語を理解することができる能力を有していることを試験その他の方法により証明されていること。

 

四 本邦の大学、大学院、短期大学、高等専門学校、第一号ハに規定する短期大学等の専攻科又は同号ニに規定する専修学校の専門課程の学科において修得した学修の成果等を活用するものと認められること。

 

 

 

では具体的に要件を見ていきましょう。

1.学歴要件

日本の大学を卒業又は大学院の課程を修了し、学位を授与された方で、高い日本語能力を有する方が対象となります。

 

学歴について
日本の4年制大学の卒業及び大学院の修了に限られます。
※令和6年2月29日改正以前は、短期大学及び専修学校の卒業並びに外国の大学の卒業及び大学院の修了は対象になりませんでした。

 

改正後、日本の短期大学または高等専門学校を卒業した者で、大学のおける一定の単位の修得等を行い、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の行う審査に合格し学士の単位を授与された留学生、専修学校の専門課程の修了者に対する専門士および高度専門士の称号を付与された留学生も特定活動告示46号の対象となりました。

 

2.報酬要件

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要になります。

 

地域や個々の企業の賃金体系をもとに、同種の業務に従事する日本人と同等額以上であるかについて判断されます。

 

3.日本語能力要件

  1. 日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する者。※ 日本語能力試験については、旧試験制度の「1級」も対象となります。
  2. 外国の大学・大学院にて日本語を専攻し、その後日本の大学・大学院を卒業・修了している者

 

「日常的な場面で使われる日本語に加え、論理的にやや複雑な日本語を含む幅広い場面で使われる日本語を理解することができる能力」とは?

 

具体的には、 「日本語能力試験」のN1のレベルに合格する能力になります。

 

また、同試験のほか、他の日本語能力に関する試験でこれと同等の能力を有していると考えられるものとして、 「BJTビジネス日本語能カテスト」において480点以上を得点した者が対象となります。

 

4.業務内容の要件

「本邦の大学又は大学院において修得した広い知識及び応用的能力等を活用するものと認められること。」とあるように

 

従事しようとする業務内容に、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の対象となる学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれていること、または今後当該業務を行うことが見込まれることが要件です。

 

「学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務」とは

一般的に、大学において修得する知識が必要となるような業務

  • 商品企画
  • 技術開発
  • 営業管理業務
  • 企画業務(広報)
  • 教育等

が、一部に含まれていればよく、「技術・人文知識・国際業務ビザ」のように、主に従事するまでは必要としていません。

 

むしろ、日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事する活動が含まれることが必要です。

 

このような要件から、コンビニなど販売業務に従事することが可能になりました。

 

よって特定活動(告示46号)・ 本邦大学等卒業者ビザは、現業業務に主として従事することができるビザになります。


特定活動告示46号・本邦大学等卒業者の具体的活動例

 

特定活動告示46号・本邦大学等卒業者ビザによって認められる具体的な活動例は以下になります。

留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学等卒業者)についてのガイドライン引用

飲食店の接客スタッフ

飲食店に採用され,店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務を行うもの。
(日本人に対する接客を行うことも可能です。)
※ 厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。

工場のラインスタッフ

工場のラインにおいて、日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインに入って業務を行うもの。
※ ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません。

工場のラインスタッフ

食品製造会社において,他の従業員との間で日本語を用いたコミュニケーションを取りながら商品の企画・開発を行いつつ、自らも商品製造ラインに入って作業を行うもの。
※ 単に商品製造ラインに入り、日本語による作業指示を受け、指示された作業にのみ従事することは認められません。

小売店における販売スタッフ

小売店において、仕入れ、商品企画や、通訳を兼ねた接客販売業務を行うもの。
(日本人に対する接客販売業務を行うことも可能です。)
※ 商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められません。

ホテルや旅館等のスタッフ

ホテルや旅館において、翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設、更新作業等の広報業務を行うものや、外国人客への通訳(案内)を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客を行うもの。
(日本人に対する接客を行うことも可能です。)
※ 客室の清掃にのみ従事することは認められません。

タクシードライバー

タクシー会社において、観光客(集客)のための企画・立案や自ら通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動するもの。
(通常のタクシードライバーとして乗務することも可能です。)
※ 車両の整備や清掃のみに従事することは認められません。
※ タクシーの運転をするためには、別途第二種免許(道路交通法第86条第1項)を取得する必要がありますが、第二種免許は、個人の特定の市場への参入を規制することを目的とするものではないことから、いわゆる業務独占資格には該当しません。

介護スタッフ

介護施設において、外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら、日本語を用いて介護業務に従事するもの。
※ 施設内の清掃や衣服の洗濯のみに従事することは認められません。


特定活動(告示47) 本邦大学等卒業者の配偶者等

 

「本邦大学等卒業者の配偶者等ビザ」の該当する活動は、次の通り規定されています。

前号に掲げる活動を指定されて在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動


「本邦大学等卒業者およびその配偶者ビザ」を申請するために必要な書類

ビザ(在留資格)の申請の際に、日本に入国し在留しようとし、あるいは現に在留している外国人の方が

  • 付与されるビザ(在留資格)に該当する活動をする意思があること(在留資格該当性
  • ビザ(在留資格)に見合う学歴、職歴、経験などがあるか否か(上陸許可基準適合性
  • 在留資格変更や在留期間更新をする相当な理由があるか否か(相当性

などを立証するために必要な書類を集める必要があります。

 

「本邦大学等卒業者およびその配偶者ビザ」を申請するために必要な書類は本邦大学等およびその配偶者ビザの必要書類に記載しています。


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