介護ビザ

「介護」ビザは、高齢化に伴い、質の高い介護に対する要請が高まっているので、介護福祉士の国家資格を取得した者には、介護福祉士の国家資格を取得した外国人留学生の卒業後の国内における介護または介護の指導を行う業務に従事することを可能にするため、平成28年の入管法改正により設けられた在留資格です。

在留資格「介護」 (Nursing Care Visa)

 

 

「介護」ビザとは

「介護」ビザを持った在留外国人の人数です。

2022年12月 2023年12月
介護ビザ 6,284人 9,328人

 

「介護」ビザは、高齢化に伴い、質の高い介護に対する要請が高まっているので、介護福祉士の国家資格を取得した者には、介護福祉士の国家資格を取得した外国人留学生の卒業後の国内における介護または介護の指導を行う業務に従事することを可能にするため、平成28年(2016年)の入管法改正により設けられた在留資格です。

 

※ 令和2年(2020年)4月1日に在留資格「介護」の上陸基準省令が改正され、介護福祉士の資格を取得したルートにかかわらず、在留資格「介護」が認められることとなりました。

 

以前は、介護福祉士養成施設を卒業して介護福祉士の資格を取得した者に限り「介護」の在留資格が認められていました。

 

 

「介護」の在留資格の対象となる者は、日本の介護福祉士の資格を有する者になります。
外国人が、介護福祉士の資格を取得するための試験を受験する方法としては、次のような場合があります。

  • 「留学」ビザにて介護福祉養成施設(大学や専門学校の課程など)を卒業する方法
  • 経済連携協定(EPA)に基づいた「特定活動」ビザにて入国し、介護施設や病院などにて就労・研修を修了する方法
  • 経済連携協定(EPA)に基づいた「特定活動」ビザにて入国し、介護福祉養成施設(大学や専門学校の課程など)を卒業する方法
  • 介護福祉士養成施設以外の教育機関に在籍中に資格外活動許可を受けて、介護業務に従事し、受験資格を満たす方法
  • 「特定技能1号」や「技能実習」で就労している外国人の方は、実務経験ルートでの方法

 

インドネシア、フィリピン、ベトナムとの間の経済連携協定(EPA)に基づいた介護福祉士としての活動(介護福祉士として必要な知識および技能に係る研修として業務に従事する活動)があります。

 

具体的には次の「特定活動」ビザになります。

  1. EPAインドネシア人看護師等ビザ
  2. EPAフィリピン人看護師等ビザ
  3. EPAベトナム人看護師等ビザ

経済連携協定(EPA)に基づいて介護福祉士候補者として入国した外国人が、介護福祉士の資格を取得して、その登録を受けた後も引き続き「特定活動」の在留資格により在留することもできますが、「介護」の在留資格への変更許可を受けて在留することもできます。

 

 

「介護」ビザに該当する具体例は、次の者になります。
介護福祉士

 

「介護」ビザの在留期間は、5年、3年、1年又は3月のいずれかになります。


介護の在留資格該当性

「介護」ビザに定められた活動に該当することを「在留資格該当性」といいます。
まず「介護」ビザを取得するためには、在留資格該当性を満たさないとなりません。

 

入管法の別表第1の2の表の「介護」の項の下欄は、本邦において行うことができる活動を以下のとおり規定しています。

本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動

【入管法別表第1の2の表の介護の項の下欄】

 

 

「介護」の在留資格に該当する活動とは

「介護」ビザは、介護福祉士の資格を有する者が、病院、介護施設等で入浴、食事の介助等の介護業務全般を行う活動が該当します。

 

ケアプランの作成等も含まれます。

 

「介護」ビザは、介護施設等での活動だけでなく、訪問介護も可能です。

「介護」ビザの対象となる活動においては、必ずしも介護施設等に限定されるものではなく、訪問介護も可能です。

 

また介護対象者の範囲は、老人介護に限らず年齢等の要件はありません。

 

要介護者やその家族との「介護」の契約に基づいて行う活動は、「介護」ビザの要件を満たしませんので注意が必要です。

 

「介護福祉士」とは

介護福祉士とは、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいいます。

 

「介護を行う業務」とは

「介護を行う業務」とは、介護福祉士の資格を有する者が行う業務であり、次のような業務になります。

  1. 要介護者に対する食事、入浴、排泄等の身体の介護を行うこと
  2. 要介護者や要支援者からの相談を受け、ケアプランの作成
  3. 市町村の介護サービス事業者や介護施設等との連絡調整を行うこと

 

「介護の指導を行う業務」とは

介護の指導とは、資格を有しない者が行う食事、入浴、排泄の介助などについて指導を行うことや、要介護者に対して助言を行うことです。

 

教員の立場で、生徒に介護の指導を行う場合は「介護」ビザに該当しませんので注意が必要です。


介護の要件(上陸許可基準適合性)

上陸許可基準とは、在留資格該当性があると考えられる外国人が、ビザ申請の際に、満たしていなければならない要件(基準)であり、基準に適合しているかどうかを意味します。

 

審査基準(上陸許可基準適合性)は、入管法の基準省令には以下のように定義されています。

申請人が次のいずれにも該当していること。
(第1号)
申請人が社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第40条第2項第5号又は社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和62年厚生省令第49号)第21条第3号に該当する場合で、法別表第1の2の表の技能実習の項の下欄に掲げる活動に従事していたときは、当該活動により本邦において修得、習熟又は熟達した技能等の本国への移転に努めるものと認められること。

 

(第2号)
日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

【上陸基準省令の「介護」の項の下欄】

 

(第1号)の基準とは

外国人である申請人が、次のどちらかに該当する場合でかつ「元技能実習生」の場合は、「介護」に該当する活動により日本において修得、習熟又は熟達した技能等の本国への移転に努めるものと認められることが必要です。

  • 「実務経験3年以上」+「実務者研修」
  • 「実務経験3年以上」+「(介護職員基礎研修)+(喀痰吸引等研修)」

 

(第1号)の基準が満たすと認められるためには、「技能移転に係る申告書」の提出が必要です。

 

「特定技能1号」や「技能実習」で就労している外国人の方は、実務経験ルートになります。
実務経験3年以上に加え、「実務者研修」の修了または「(介護職員基礎研修)+(喀痰吸引等研修)」の修了が必要です。

 

社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第40条第2項第5号とは

3年以上介護等の業務に従事した者であって、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校または都道府県知事の指定した養成施設において6月以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得した者
【社会福祉士及び介護福祉士法第40条第2項第5号】

 

「社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第40条第2項第5号」とは、「実務経験3年以上」+「実務者研修」のことです。

 

社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和62年厚生省令第49号)第21条第3号とは

(第3号)
3年以上介護等の業務に従事した者であって、次に掲げる課程のいずれかを修了した後、法第40条第2項第5号に規定する学校又は養成施設において1月以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得した者

 

イ 法附則第11条第2項に規定する喀痰かくたん吸引等研修(別表第3第1号の基本研修及び同表第2号の実地研修を除く。)の課程

 

ロ 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第22条の23に規定する介護職員初任者研修課程

 

ハ介護保険法施行規則の一部を改正する省令(平成18年厚生労働省令第106号)附則第2条の規定による廃止前の訪問介護員に関する省令(ニ及びホにおいて「旧訪問介護員省令」という。)第1条に規定する1級課程

 

ニ 旧訪問介護員省令第1条に規定する2級課程

 

ホ 旧訪問介護員省令第1条に規定する3級課程

 

ヘ 介護保険法施行規則の一部を改正する省令(平成24年厚生労働省令第25号)による改正前の介護保険法施行規則第22条23第一項に規定する介護職員基礎研修課程

 

ト イからヘまでに掲げる課程に準ずる課程として厚生労働大臣が認める課程

【社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第21条第3号】

 

「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和62年厚生省令第49号)第21条第3号」とは、「実務経験3年以上」+「(介護職員基礎研修)+(喀痰吸引等研修)」のことです。

 

「特定技能1号」「技能実習」で就労している外国人の方は、実務経験ルートになります。
実務経験3年以上に加え、「実務者研修」の修了または「(介護職員基礎研修)+(喀痰吸引等研修)」の修了が必要です。

 

(第2号)の基準とは

低賃金外国人労働者を認めないという趣旨です。

 

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることの要件を定めたものであります。

 

同等の日本人と比べ報酬が低かったりすると不許可になる場合がありますので注意が必要です。

 

 

平成29 年(2017年) 4 月1日に社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正法が施行

介護福祉士として登録するためには、介護福祉士国家試験の合格が必須となりました。

 

経過措置として

平成29年(2017年) 4月1日に社会福祉士及び介護福祉士法の一部が改正され施行されました。
改正により、介護福祉士として登録するためには、「介護福祉士国家試験」の合格が必須になりました。

 

ただし、経過措置として、平成29年度(2017年度) から令和3年度(2021年度)の間に、介護福祉士養成施設を卒業した者(養成施設ルート)に対しては、介護福祉士国家試験に合格することなく、卒業時、暫定的に5年間介護福祉士としての登録が認められるようになりました。

 

次のいずれかを満たせば、継続して介護福祉士としての登録が認められることになりました。

  • 5年間介護施設における実務経験を積む
  • 卒業後5年以内に介護福祉士国家試験に合格

※この経過措置については、令和8年度(2026年度)までに本邦の介護福祉士養成施設を卒業した者も対象となるよう延長されました。
養成施設を令和8年度末(2026年度末)までに卒業する場合は、卒業後5年の間は、国家試験を受験しなくても、または、合格しなくても、介護福祉士になることができます。

 

次の要件を満たせば、5年経過後も介護福祉士の登録を継続することができます。

  1. この間に国家試験に合格する
  2. 卒業後5年間続けて介護等の業務に従事すること

ただし、令和9年度(2027年度)以降に養成施設を卒業する方からは、国家試験に合格しなければ介護福祉士になることはできません。

 

以前は養成施設ルートが必須でした。

以前は、本邦の介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士国家試験に合格して介護福祉士の登録をすること(いわゆる養成施設ルート) が要件でしたが、2020年4月1日に上陸基準省令を改正により、養成施設ルート以外のルートで介護福祉士となった者についても在留資格「介護」ビザが認められるようにりました。

 

「養成施設ルート以外の者」とは

養成施設ルート以外の者とは、例えば実務経験ルートおよび福祉系高校ルートの者のことをいいます。
ただし、介護福祉士となる資格を有するためには、介護福祉士国家試験の合格が必須条件となっています。

 

「実務経験ルートの留学生」とは

実務経験ルートの留学生とは、介護福祉士養成施設以外の教育機関に在籍中に資格外活動許可を受けて、介護業務に従事し、介護福祉士国家試験の受験資格である3年以上の実務経験を満たした者をいいます。

 

 

 

 

 

「介護」ビザを申請するために必要な書類は介護ビザの必要書類に記載しています。