「帰化」とは、日本国民でないものが本人の志望に基づいて申請し、法務大臣の許可により日本国籍を取得することを言います。
法務大臣が帰化を許可した場合には、官報にその旨が告示されます。
帰化は、その告示の日から効力が生ずることになります。
帰化申請は、帰化しようとする者の住所地を管轄する法務局または地方法務局の長を経由してすることを要します。
この申請は、帰化しようとする者が自ら所轄法務局等へ出頭し、書面によりこれをしなければなりません。
外国人が日本国籍を取得できる根拠条文
第4条
日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。
2 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。
【国籍法第4条】
国籍法第4条において「日本国民でない者(外国人)は、帰化によって日本の国籍を取得することができる」とし、「帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない」と定められています。
帰化は、外国人であれば基本的に誰にでも申請が認められていますが、法務大臣の自由裁量となっています。
帰化許可のための基本的な条件(一般帰化)は、国籍法第5条にあります。
第5条
法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
- 引き続き5年以上日本に住所を有すること。
- 18歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
- 素行が善良であること。
- 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。
- 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと。
- 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
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法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第五号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。【国籍法第5条】
外国人が日本国籍を取得できるには(帰化するには)6つの条件があります。その6つの条件は上記の国籍法5条に書かれています。
しかし、実際には上記の国籍法5条にありませんが、7つの要件(日本語能力)が求めれれています。
また以下の条件を満たしていても、必ず帰化が許可されるとは限りません。
以下の条件は日本に帰化するための最低限の条件を定めたものになります。
「引き続き5年以上日本に住所を有すること」
日本国民となることを認めるべきか否かを判断する際に、日本に一定期間生活の本拠があり、日本社会に馴染み、日本社会に同化していることが求められます。
特に「引き続き」とありますが、再入国許可を得て出国し、その期間内に日本にいない場合は、「引き続き」に該当しないと判断される場合があります。
目安として、
が求められています。
また直近3年間の就労・納税歴があることが求められています。
就労系のビザを取得して満3年以上働いていることが必要になります。
住所は、適法なものでなければなりません。
正当なビザ「在留資格」を有していなければならないのは、言うまでもありません。
18歳以上であって、かつ、本国の法律によっても成人年齢に達していることが求められています。
申請人が15歳未満の場合は、法定代理人が申請しなければなりません。
社会通念上、素行が善良であり、日本の社会の安全と秩序を維持するうえで問題がないことが求められています。
5年以内に刑事罰を受けていたり、納税を守っていない者は認められないということです。
交通違反についてですが、軽微な交通違反は問題にならないことが多いですが、軽微な違反の回数が多かったり、赤切符をもらうような重大な交通違反を5年以内にしているような場合は、帰化許可は厳しいと判断せざる得ません。
「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」
生活に困ることがなく、日本で暮らしていけることが必要です。
生計要件は、親族単位で判断されますので、親から仕送りを受けて生活する学生、子に扶養される老親、夫に扶養される妻等であっても、生計要件を満たしていれば問題がないです。
経営する会社が赤字である場合や債務が多い場合、無職の場合、収入が安定していない者は不許可になりやすいです。
「帰化しようとする者が国籍を有せず、または日本国籍の取得によってその国籍を失うべきこと」が求められます。
申請者が帰化する場合は、原則国籍を放棄しなければなりません。
例外として、申請人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合は、この条件を備えていなくても帰化が許可される場合があります。
日本政府を暴力で破壊を企て、もしくは主張し、またはこれを企て、主張する政党その他の団体を結成し、加入したことがないことが求められます。
国籍法には記載されていませんが、近年、日本語の読み書きができるかどうかが求められます。
小学校3年生程度の国語力が求められている傾向があります。
以前に比べて、日本語の「読む」、「書く」能力を求められているので、事前に対策をとっておいたほうが良いです。
簡易帰化とは、住所条件(引き続き5年以上日本に住所を有する)がない場合でも、法務大臣は、帰化を許可することができる制度です。
帰化許可のための基本的な条件(簡易帰化)は、国籍法第6条にあります。
第6条
次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第1項第1号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
- 日本国民であった者の子(養子を除く。)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの
- 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
- 引き続き10年以上日本に居所を有する者
【国籍法第6条】
日本国民や日本国と特別な血縁・地縁関係を有する外国人に関し帰化条件を緩和(簡易帰化)した条文になります。
次の簡易帰化は、引き続き5年以上日本に住所を有しなくとも、帰化できます。
❹の10年以上日本に住んでいる場合は、就労経験が満3年なくても、満1年以上あれば要件を満たすということになります。
帰化許可のための基本的な条件(簡易帰化)は、国籍法第7条にもあります。
第7条
日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第5条第1項第1号及び第2号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。【国籍法第7条】
日本国民の配偶者である外国人に関して帰化条件を緩和する簡易帰化になります。
第8条
次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第5条第1項第1号、第2号及び第4号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
- 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの
- 日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの
- 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの
- 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの
【国籍法第8条】
日本国民や日本と密接な特別の血縁・地縁関係を有する外国人に関し帰化条件を緩和する簡易帰化になります。
日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、普通帰化(国籍法第5条第1項)の条件をいずれも具備していない場合でも、国会の承認を得て帰化を許可することができます。
これを「大帰化」と言いますが、現在のところ大帰化の前例はないのが実情です。
法務大臣は、帰化を許可したときは、官報に告示しなければならないと定められており、官報に告示された日から帰化の効力は発生します。
帰化者は、官報に告示された日に日本国民たる地位「日本国籍」を取得します。
官報に掲載された日に日本人になります。
帰化とは、日本人になることです。今までの母国の国籍を放棄する必要がありますので、生まれた国へ帰るときは、日本人として行くことになります。
永住は、国籍は母国の国籍のままですが、日本に永く住むことができます。
以下の条件を満たしていても、必ず帰化が許可されるとは限りません。以下の条件は日本に帰化するための最低限の条件を定めたものになります。
あなたが住んでいる住所地を管轄する法務局・地方法務局にて申請を行います。
帰化許可申請に必要となる主な書類は、次のとおりです。
国籍を証する書面及び身分関係を証する書面については、原則として本国官憲が発給したものを提出する必要があります。
なお、申請者の国籍や身分関係、職業などによって必要な書類が異なりますので、申請に当たっては、法務局・地方法務局に確認する必要があります。
「住所」とは、住んでいる場所という意味で、法律上だと、「各人の生活の本拠となる場所」になります。
生活の本拠となる場所になります。
「居所」とは、居住する場所という意味で、「住所ではないが、人がある程度継続して住む場所」になります。
例えば、単身赴任で住む会社の寮や長期滞在しているホテルなどがあげられます。
外国人登録原票とは、市町村の長は、以下の事項を外国人登録原票に登録し、これを市町村の事務所に備えなければならない。