
「在留特別許可」とは、本来であれば日本から退去が強制される外国人に対して、法務大臣が例外的・恩恵的に日本への在留を許可する措置のことです。
これまでは退去強制手続きの中で付随して判断されていましたが、入管法改正により、外国人自らが希望を申し出る在留特別許可の「申請手続」が新たに創設されました。
ただし、この許可は法務大臣の極めて広範な裁量に委ねられています。許可をするかどうかについては、個々の事案ごとに諸般の事情を総合的に考慮した上で判断される「特別な許可」であることに変わりはありません。
改正された入管法では、次のいずれかに該当する場合に、外国人からの申請または職権によって「在留特別許可」ができると明確に定められました。
上記の要件に当てはまる事情があっても、以下のような違反歴がある外国人の場合、原則として在留特別許可はされません。
ただし、これらのケースであっても、許可をしないことが人道上の配慮に欠けると認められる「特別の事情」がある場合に限り、例外的に許可される余地が残されています。
ここでいう「特別の事情」とは、許可しないことが人道的見地から見て酷に過ぎると認められる事情のことです。
例えば、日本で病気の治療を受けており、相当期間日本で治療を受けなければ生命に危険が及ぶ具体的なおそれがある場合などが該当します。
最新のガイドラインでは、審査において考慮される事情が以下のように明確化されています。
【プラス(積極的)に評価される事情】
【マイナス(消極的)に評価される事情】
【行政書士からのアドバイス】
在留特別許可は、法改正により申請手続きや考慮される事情が明確化されましたが、決して「待っていれば誰でももらえる許可」ではありません。
ご自身の家族関係や日本での生活状況がいかに「許可すべき事情」に該当するかを、法的な観点からしっかりと入管へ主張・立証していく必要があります。

在留特別許可」が認められるかどうかは、入管のガイドラインによって定められた以下の「9つの考慮事情」に基づいて審査されます。
審査では、これらの事情から「日本に残すべきプラスの事情(積極要素)」と「退去させるべきマイナスの事情(消極要素)」を洗い出し、総合的に比較して判断されます。
プラスの事情がマイナスの事情を明らかに上回る場合には、許可される可能性が高くなります。ただし、総合判断であるため「これが一つあれば絶対に許可される(あるいは不許可になる)」という絶対的な基準はありません。
9つの考慮事情について、それぞれどのような点がプラス(積極要素)やマイナス(消極要素)として評価されるのか、代表的な基準を分かりやすく解説します。
「ただ日本に住みたいから」という単なる希望だけでは足りません。後述する家族関係や人道的な事情など、日本に残らなければならない「明確で具体的な理由」が求められます。
家族関係は、審査において極めて重視されます。
とくに、「日本で家族と一緒に生活するという、子供の利益を保護する必要性」は、非常に強いプラス(積極要素)として考慮されます。
法律を守って生活していることは「当たり前の前提」であるため、それだけでプラスにはなりません。
正規のパスポートとビザで適法に入国したことは当たり前の前提であり、プラスにはなりません。
オーバーステイなどの違反のほかに、犯罪などの反社会的な行為がある場合は、その悪質性に応じて強いマイナス(消極要素)として評価されます。
本国で迫害を受けるおそれがある、日本で治療を続けなければ命に関わるなど、人道上の特別な配慮が必要な事情は、その程度に応じてプラスとして考慮されます。
日本の治安や労働市場への影響、母国の情勢、または他の不法滞在者に対する見せしめ(悪影響を与えないか)などが考慮されます。
上記に限らず、個別の事情がすべて総合的に考慮されます。
【行政書士からのアドバイス】
在留特別許可を勝ち取るためには、入管に対して「マイナス事情を反省した上で、それをはるかに上回るプラスの事情(家族との生活の必要性や地域社会との結びつき等)がある」ということを、証拠とともに論理的に主張する必要があります。
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